威信、そして内
「(侵略。結界がどういう能力なのかが分からないけど、里に入った途端にエルフたちが武装し、警戒していた所から考えて侵入者が来てもすぐに気がついたと思う。ただ戦闘技術までは把握出来てないからぶつかった場合はどちらに転ぶか不明だな)」
それに戦争は質よりも数だから地形の優位性があっても負ける可能性は大いにある。
エルフが固有能力の所持者も個人の所持数も人間より多くて珍しい魔道具を多く持っていても負ける可能性は……
おまけに“森の番人”という二つ名を持っているドライアドも恐らく複数で参戦した。
種族全員が高速移動を持ち、木の根を武器にする。冒険者のランク換算で“赤ランク”程のドライアドを相手でも数には負ける可能性も……
さらにエルフには存在の認識を出来なくする結界を張ることが出来る精霊もいる。
人単位の大きさや数を張れるのかは不明だが、少なくとも精霊王があれだけ強いなら同族もかなり強いだろう。
それこそドライアドより強いかもだが、それでも能力を破れる術を知っている人間が大量にいれば負ける可能性も……
「(──いやよく負けたな?!)」
相手の戦力を想定しようとしたが、考えれば考える程エルフたちの威信が揺らぎ崩れて行く。
「(ただ、それだけ積み重なっていたエルフたちを相手に勝利した白という人物の軍勢か……)」
首長たちは何も言わないので分からないが、少なくともアンタレス王国で後から襲撃して来た方の兵。名前は忘れた。
あの男以外にも何人か厄介そうな連中がいた。糸目の男とか。
恐らくあれと同等くらいの実力者がいないとエルフたちに勝つのは無理だろう。
「(どれくらいなのかは分からないが、勝ったのだから騎士団くらいの量で挑んだと想定しても良いかもしれない)」
そしてそんな連中が何故エルフを狙ったのか、国はそれを理解しているのか。
気になる点が尽きない。
______________
コカトリス:死亡
Lv.57
特殊:牙と爪に猛毒。卵
______________
______________
コカトリス:死亡
Lv.5_
特殊:牙と爪に猛-
____________
________
ニカ_リス:死
Lv.-
特殊:牙と爪_
____________
______________
藁人形:呪物化
特殊:呪いに魔力を供給。
【材料】藁、ドライアドの毛
______________
「(──見つけた!)」
話の途中でコカトリスの体内から表示されたそれを見つける。
「(なるほど。体内だったから魔眼で表示されなかったのか)」
しかしブライアンによって首を落とされたからすぐに分かったが、そうでなかったら見ていなかった。
他者に付与する固有能力に対して体内が怪しい、とはならなかった。
とりあえず見つけられてひと安心だな。
「(にしても表示が徐々に消えて行ってるな)」
『魔眼』で表示されているコカトリスの情報だけが時間経過ごとに文字が消えている。
死体に対して長い間見ることがなかったからこんな結果があるのを知らなかった。




