説明、そして惚ける
ただ、いくら危険と言っても結局は自分の死がトリガーなのだからそうそう発動しない。
それに首長たちも爆弾を放置する訳にはいかないだろう。森の中で爆発するとしても爆発範囲は不明だ。
そんなドライアドの状態を伝えれば無暗に討伐とは行かないだろう。
「(ならちゃんと伝えた方がこっちも動きやすいか)」
利点を改め、行動を変更する。
ドライアドから首長たちの方へ顔を向ける。
「悪い、伝え忘れてた。ドライアドの状態なんだけど……」
距離の近い彼女とブライアンにだけ聞こえるように少しだけボリュームを落として伝える。
本当はコランドに教えておきたかったが、彼は刑法官たちと距離が近い。
別に呼べば来てくれるだろうし、刑法官は拘束されているので聞かれてもドライアドの対処に移るのは難しいだろう。
「(それにいまいち大人たちがドライアドに対してどういう認識なのか分からないんだよな)」
何かしらの信頼を置いているみたいだけど、エルフの信頼とは別の信じ方──畏敬だろうか?
「(とりあえず初めにこの二人に話した方が反応が知れる)」
そんなことを考えながらドライアドの状態を伝える。
「──……それは、本当か?」
話を聞いた二人が険しい表情を浮かべる。
しかしそれは何故かドライアドもだった。能力のことを伝えた時に、当人であるドライアドも声を上げていた。
そのことが気になったが、訊くよりも先に首長が確認してきた。
「ああ。爆発の範囲は最悪で森中かもしれない」
「なんて迷惑な」
「……貴様の能力で診たその呪いとやらは任意で起動はしないんだな?」
「恐らく」
『魔眼』で見た限りではその心配はないだろう。死を任意と言わなければ。
「それで上の氷で呪いを起動させないためと? なら先に言ってくれ」
「コカトリス接近時に分かったことだから時間がなかったんだ。それに被害範囲も仮定で、実際は不明だし」
「だからと言って被害規模を考えろ」
「……悪い」
当然のお叱りを受ける。
しかし「爆発範囲が分からない以上被害規模も大きくなる」と言い訳をしたくなったが、ギリギリで飲み込む。
その代わりに別のを吐き出す。
「ドライアド。あんたは一体なんでそんな能力を受けた身で来たんだ?」
危険な状態で近づいて来た。
ただ、ドライアドの態度や俺が来たのはたまたまだったから、それらから考えて故意の出来事ではないと思う。
しかし『催眠』には人へ近づくようにする効果はなかった。
それでも近づいて来た。
「(他の能力で来たと考えるべきだよな)」
そんな答えだろうと予測していた。
「……申し訳ございません。私も自分がその様な状態だったと知らず……お手を煩わせてしまい、申し訳ございませんでしたっ!」
しかしドライアドはとぼける。
「いやいや、そんな訳──いや、そもそも自分の状態なんていちいち確認なんてしなよな。申し訳ない、忘れてくれ」
ドライアドがとぼけていると思ったが、考え直せば常に自分の状態をステータスで確認なんてしない。
だからこそ何も分かっていない時にたまたま俺が森に来たのを感知したから救援を求めに来たのだろう。
「大変な時に変な疑いを持って悪かった」
なんとか頭だけを動かし、謝罪する。
いつ起爆するかも分からない危険な状態を知っていて近づいて来る訳がない。
そんな勘違いをしてしまったのが本当に申し訳ない。
「……なあ、坊主。お前もしかしてドライアドがステータスを持っていると思っとるんか?」
だからブライアンからの質問が理解出来ず、脳がフリーズする。




