心配、そして効能
「大丈夫か……?」
急に叫び声を上げて苦しみ出した俺を訝しみながらも首長が心配して尋ねてくる。
「大……丈夫っ……悪い」
返事をするも悪臭が込み上げてきて吐きそうになる。
出て来そうなのをギリギリで堪えたが危なかった……
「申し訳ございませんっ、初めに申し上げておくべきでした」
「──っ、大丈夫大丈夫。それよりこれってどうやったら話すんだ? 俺がペラペラ話し出しても良いのか?」
「……いや。こちらの質問に答えてもらう」
「分かった」
慌てて謝罪をするドライアドを治めつつ、自白剤の使用方法について尋ねる。
しかし首長は疑いの目を解く所か、むしろ鋭さが増してしまう。
そんな彼女の変化を不思議に感じたのとほぼ同時にブライアンが恐る恐る口を開く。
「なあ坊主……その、なんともないのか……?」
「どういう意味だ?」
「自白剤を飲んだ者はそんな澄ました顔でいられない。やはり偽物か」
「意識が朦朧としとる様子もないな」
二人が俺のそのままの様子に失敗と判断したらしい。
「(そりゃ状態異常系は効かないから、こっちはただ不味いスープを飲んだだけだしな)」
そんな予測通りにならない理由を知らせる訳にはいかない。かと言って、知らない状態だと今陥っている状況から抜け出すのは難しい。
内情に頭を抱える。
「あぁー……気合い……?」
「「無理」」
「…………あ、あがっ……?! ぐあっ!」
「「もう遅い」」
「すぅ……実は状態異常を緩和する魔──」
「「出来ん」」
なんとか誤魔化そうとするが、息の合った首長とブライアンによって悉く否定されてしまう。
自分の言い分に無理があるのは分かっているのだけれど、捻り出した嘘を即行で否定されると遣り切れない気持ちが強い。
こればかりは事前に知っておいてから実践すべきだったと後悔する。
「(……いや、こうなると事前に分かる訳もないか)」
などと自分でノリツッコミをしている場合でもない。
これ以上誤魔化す手立てがない。しかし今変に誤魔化そうとすれば、なおのこと怪しさを増してしまう。
「自白剤の成分に問題があったんか?」
「そんなことは──」
「いや、それは大丈夫。自白剤自体の効能はしっかりある……と思う」
ブライアンが自白剤の効能に異議申し立てる。しかしドライアドが作ったこれの効能は保証出来る物だから否定する。
ただ当然──
「何故そう言い切れる?」
「俺の能力だ。見た物の成分というか効果がある程度解るんだ」
「……その能力を隠していたことは後で訊く。問題はそれが自白剤として正しい物なら何故貴様には効いていない?」
「さっきも言いかけたが魔道具の性能で効かない。ダンジョン産のだから効果が良いんだよ」
「……」
効かない理由を問われることは分かっていたため厳しい言い訳で突き通す。
「(少なくとも今はそうしないと行けない。早く隙を突かないと俺への信頼がなくなって行動出来なくなる……)」
結果として自分で状況を悪化させた今、一番初めに対処をするべき人物を『天眼』で窺う。
こちらに崇敬と案じるような眼差しを向けているドライアドを。




