対処法、そして不明
ようやく解放され、上から罵声が飛んでこない状態に清々する。
「(ただ、無理矢理拘束されてたせいで身体が痛くてしょうがない……)」
痛みのせいで腕を前に戻せずに後ろで止まってしまう。
そして腕が動かせないので立ち上がるのも一苦労で、虫が這うようにして起き上がるしか術がない。
刑法官の捕縛にドライアドからもらった水を全部使わなければ良かったと後悔する。
「それでこの二人はどぉすんだ?」
そんなだらしのない体勢を見兼ねたのかブライアンが起き上がらせてくれる。
お礼を言いつつ、彼の質問に答える。
「とりあえず知っていることは訊きたいけど……」
「素直に話すとは思えないな」
言い淀んだ俺の返答に首長がズバッと考えていたことを告げる。
事実怒りと恨みのこもった目で睨んでくる彼らが、簡単に口を割ってくれる訳がない。
「冷たいし痛いっ! このドクズ共が! 離せえぇ!!」
「お前ら刑法官にこんなことをしてタダで済むと思うなっ?!」
追加で恨み言と暴言が飛んできた。
こんな調子の二人があっさりと経緯を話してくれるはずがない。それこそ余程の脅し……基、協力してもらうための交渉札がないと。
しかしそんな都合の良い物があるのなら、首長の部屋で使っている。
「キリサキ様。恐れながらこちらをお使いになられてはいかがでしょうか?」
「ん?」
彼らの扱いに困っているとドライアドが恭しい態度で声をかけてきた。
そんな彼女が手には先程の様な葉っぱで出来た器が乗っている。ただ、大きさは料理で使う小さめのボール程だ。
そしてその葉っぱの中には黄色の液体が入っている。見た目はオレンジジュースにそっくりである。
しかし──
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自白剤(上):即効性の自白剤。大量に飲ませると中毒状態となる。
【材料】寂然薯、マカカナ、コマチュリ草、カルトスの実の種
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「うわぁー……」
『魔眼』で表示された内容に引いてしまう。
こんなのを勧められても困る。しかも名前の知っている物が半分もある。
「なんでこんなのがあるんだ?」
「そちらの人間様方の話からおおよその事態を想定し、僭越ながら調合いたしました」
「だからって自白剤なんて……しかも即効性……」
有能なのだろうけど、発想が怖い。飲み過ぎたら中毒になるってあるし。
というかこの『上』って表記はなんだ? 意味は予想出来るけど、こんな能力は今までなかったはず……
「(それに襲撃後に見たあの表示。あんな能力も知らない──)」
ずっと使ってきた自分の能力なのに知らないことが現れるのは不安だ。
これが自分の能力に元からあったのであれば、まだ良い。同じ部分しか利用してこなかった自分が悪いのだから。
でもつい最近、エルフの里で一気に四つもの新しい固有能力が手に入った。
そしてその後にこの知らない能力が現れ出した。もしそれが原因なのだとしたら怖い。
ただでさえ意味の分からない固有能力の増加に加えて、自分の能力の変化が起こっているのだから。
「(目の前のドライアドなら何か知ってるのだろうか……?)」
強い不安を表に出さないように努めつつ、ドライアドの顔を見る。
整った顔立ちに打撲や切り傷のある。そんな彼女の顔は真剣な表情だ。




