質問、そして返答
彼女を見て警戒を解いたのは俺だけで、他は睨む様に彼女の同行を窺っている。
「何があったんだ? この惨状は一体……」
目の前の方とは面識はないが、とりあえずこの状況を尋ねる。
ドライアドは他が警戒しているためかこちらへは近寄ろうとせず、少し離れた焼け残った木の横で戸惑った表情と共に口を開く。
「……あの、人間の方。貴方様と同じの黒髪の青年を知りませんか? キリサキ様の気配がしたので参りましたのですが……」
「俺が桐崎だ。訳あって今は子供の姿なんだ」
残念ながら事情聴取は無視される。仕方がないので何度目かになる説明をする。
しかしこれは言っても信じてもらえない内容だ。それを聞いたコランドと刑法官も信じていない。
当然内容が内容というだけあってそれは仕方のないことだ。
「(大人で信じてくれたのはポールさんたちだけだし……でも能力だらけの世界なんだから、あり得そうなことだし一人くらい信じてくれても良いのに)」
などと心の中で悪態を吐いていると突然ドライアドがその場で土下座をする。
その行動に全員が虚を突かれる。
「申し訳、ございません……森を御守りすることが叶いませんでした……!!」
泣きながら叫ぶ様に言う彼女の言っている意味が分からないが、その慌て振りは尋常ではない。
「精霊様より貴方様に遵従するよう言われておりましたのに、私たちは守れませんでした……」
「……落ち着いてくれ」
「力不足による失態でございます。なんなりと罰をお与えください……」
「あ、いや、大丈夫だから……! 落ち着いてくれ!」
異種族とはいえ、女性が泣いて土下座までされていると罪悪感が強い。
周りの視線が気になってしまう……
「──…………お見苦しい姿を御見せしてしまい、申し訳ございません……」
「気にしないで良い」
しばらくしてようやく泣き止み、落ち着いてくれたドライアド。
その間に周りの様子を『天眼』で探ってみたが、やっぱりここはユキナたちと訪れたエルフの里に間違いはない。
近くに復興中だった村もあった……
そして広範で焼け野原になっていたというだけ。
何故か観える範囲には人はいない。ここは魔獣の出る場所だから冒険者だって出入りする場所なのにだ。
「それで、何があった?」
その原因を知る目の前の女性から訊かなくてはならない。
それは首長たちも同じらしく刑法官含め回答を待っている。
「はい」
目が少しだけ泳ぎ、呼吸が荒い。
しかしそれを抑え込んで彼女は重い口を開く。
「あの方……白様が謀反を起こしました」
ドライアドは告げる。
その言葉に特に反応を示す者もいない。
「シロ? 誰だ、それは?」
「白様は……いえ、白は精霊様との古くからのご友人、とのことです」
「精霊と……?」
しかし続いた言葉に眉根を寄せる者は何人か現れる。
白という人物は謎だが、精霊と友人とはどういうことなのか? そもそも精霊が何歳かは分からないし。
でも、精霊と友達か。少しファンタジーっぽくて、好きだな。




