捜査、そして囮
そんな刑法官と呼ばれていた彼らが、首長に命令していた片方が扉の前に立ち、ずっと黙っていたもう片方が右の書類棚へと向かう。
そうして棚の下側。大きめの荷物を置く様な場所を真っ先に確認し出す。
綺麗に整頓された書類やフクロウ? の様な鳥の人形を薙ぎ倒すようにして退かす。
次にソファを剣で乱雑に刺し始める。
「(マズいな。確実に誰かが隠れているのを前提に動いてる。このままだとすぐにでもここが怪しいと踏んで、見つかる……)」
刻一刻と迫る危機に逸る気持ちをなんとか落ち着けて、しかし急いで打開案を捻り出さないといけない。
とりあえず『天眼』で何か使えそうな何かを探す。
と言っても部屋の中は基本的に書類やそれ関連の物しか置いていないので、こんな状況を打破出来る物は……
「(──この人だ!)」
諦めかけたその時。適任が見つかる。
正確に言えば、その適任が何故か持ってきていた物が鍵だ。
『魔眼』に表示されたそれに少しだけ安堵を覚える。
しかし俺の位置からでは声をかけられない。それに彼が居るのはちょうど探し回っている刑法官の近く。
どう足掻いても鍵を手にするのは無理だ。
「(……最終手段でやるしかない!)」
一か八かの作戦に出る。
さっき看守たちの食料箱から持ってきた水に『水流操作』と『ウォーミル』を使って動かす。
鍵の回収として左に三割、そして囮として右に七割を割く。
囮が目立ってくれないと回収する時間が足りないかもしれないので、本来であれば大きくしたい。
しかしブライアンが対処に回させられた場合、こけ脅し程度でなんとかなるとも思えない。そのため硬くする必要がある。
「(両方取るには水の量が足りないので、今回は後者を優先する!)」
全長十センチ程度の氷の蛇を作ろうとして手が止まる。
「(脱獄の時にも蛇にしたし、今回は変えた方が良いか?)」
ただでさえ既に事件を起こして目立っているのに、今この場に居ることがバレたら、それこそ本当に冤罪でしたと証明出来ても出られなくなりかねない。
であるなら、今回は形を変えた方が得策か。
しかし変えると言っても、いざ考えるとすぐには思いつかない……
「(そうだ! 最近戦闘した魔獣を参考にすれば!)」
名案を思いつき最近出会った魔獣を思い返す。
……マダルノ蛇だな。
結局蛇に帰還する。もう少し考えられれば違う魔獣の容姿を思い出せるかもしれないが、今回は時間がないので妥協するしかない。
「(同じ氷の蛇だけど、バレませんように……!!)」
心の中で祈りながら形をマダルノ蛇型に整形する。




