傭兵、そして悪事
しかし俺以外にも異世界人がいるなんて神様から聞いていない。
「(あの神は肝心なことを言ってくれないな)」
脱獄の件も聞きたかったのに念話に出る気配もないし、おまけに異世界人のことまで言ってくれないとは。
終わったら訪問して聞き出すとして……
「色々聞いて悪かった。それでその緑のキングネスっていうのはなんなんだ?」
話をブライアンの方に戻す。
「俺も詳しー訳じゃないんだが、傭兵団をやってるらしい」
「傭兵団? そんなやつらと繋がってるのが問題なのか?」
「ただの傭兵団ならあまり問題じゃないんだが……色々ときな臭い連中でなぁ」
「……偏見だけど、傭兵団って大体はそんな物じゃないのか?」
傭兵。そんなに詳しい訳じゃないが、お金をもらって戦争とかに参加する仕事。
軍隊は国のためだけど傭兵は金銭のための関係。そのため冒険者と同じで荒くれ者が多いイメージだな。
「それは違うぞ坊主。傭兵は金銭でのゴタゴタは起こるが、信頼関係にはちゃんとしとる者ばっかりだ」
しかしそんな俺のイメージに対してブライアンがピシャリと訂正する。
それに少しだけ面喰らう。
「あ、ああ……それは悪い。すまなかった、訂正するよ」
「おう! 分かってくれたんなら良かった」
彼の傭兵に対する真摯な態度に謝罪をする。
そうしてブライアンはそのきな臭いということについて語り始めた。
「ま、そのキングネスっていう傭兵団は坊主の言うた通りだけどな。暗殺や薬物なんかも依頼受けてるみたいやし、なんなら奴隷売買をしてるなんて噂もある」
「それはきな臭いで済ませて良いのか?」
「証拠が異様になさ過ぎてな。せやからきな臭いんだよ」
「証拠がない、か……」
火のない所に煙は立たないと言うが、証拠がなさ過ぎるとなるとさらに怪しくも見える。
しかし傭兵団が行うにしては出来過ぎている。
警邏や調べているのかは分からないけれどもしかしたら騎士団が調査しても不明瞭な組織。一組織が出来る領域じゃない。
だからブライアンも訝しんでいるのだろう。
「そりゃあ、そんな連中と繋がってるやつがいるなら、おちおち大事な話も出来ないな」
「その通りだ……それで、今回のキリサキの件にもキングネスが関わってると思ってんだ」
ブライアンの考えが理解出来ずに少しだけ考え込む。が、すぐに言いたいことを察する。
「(あー、そういえば部長が看守たちの交代時間や数うんたらって言ってたな。あとラグナロを脱獄させたあとの護送とか……多分あれをキングネスに依頼した。そうブライアンは睨んでいるんだろうな)」
そしてそんな組織と繋がっていたのなら、ラグナロの件ついでに芋蔓式に堅牢署内でも繋がっている人間を捕まえたい。
だからそれも含めて組織について探りを入れてきたのだろう。




