表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
453/517

大荷物、そして巻き込み

 

「はあー……色々楽しませてもらったし、そろそろ本題に行こうぜ」

「そうですね」


 二人はそう言うと先程からずっと解くことのなかった警戒体勢に加え、殺気の籠った眼差しでブライアンを睨む。

 その様子の変化に俺だけが驚く。

 敵意を向けられているブライアンは少しだけ困った顔ではあるが、彼らの突然の変わり様に驚いてはいない。


「その大荷物はなんだ。答えろ」


 つい今し方まで弾ませていた声はどこへやら。ベネツと呼ばれた看守が低く唸る様な声音で問う。


「(大荷物……あ、俺か)」


 彼の言葉が思い当たらず、少しばかり考えてしまう。

 よくよく考えてみれば、今は子供とはいえ赤ん坊まで縮んでいる訳ではないのだから大布でもそれなりの大きさである。

『天眼』を彼ら側に寄せてブライアンを見れば、脇に全長百センチ以上の何かを抱えている。

 それも真ん中部分を。

 当然こんな物を持った嫌っている外部の男が現れたのだから警戒を解くことなんてしないか。


「……言えません」


 そしてブライアンも答えるはずがない。

 言えば処罰、言わなくても強行されて見つかる。それが分からない男ではないと思うが……

 というか最初に俺を連れ出した時点である程度はこうなることも予測出来たはずだし、考えなしに動く者はいないだろう。

 それに俺がキリサキ()を探すためだけならそもそも牢から出す必要もないはず。

 藁にも縋りたい人間故にここ一番でミスったか?


「なら私たちが確認します。動かないでください」


 もう一人の看守がそう言うと、二人の看守は徐々に距離を詰めて来る。それはさすがに困るためブライアンも身構える。

 ブライアンが動いたことで二人はさらに警戒の色を強める。

 重たい空気がこの場を満たす。

 ここがもし三階層や六階層のような囚人の多い場所であったならブライアンは何もしないだろう。

 隙のない構えから高い実力は伺えるものの、この二人が王国騎士副隊長(ブライアン)に勝てるかは怪しい。

 それは上階でも同じだろうけど『他の誰かに見られる』点は階下の方が安心だ。

 事実先程から面白可笑しく笑っていた二人は、こんな状態に陥っていても他の看守を呼ぶそぶりがない。


「(マズいな。このまま戦闘が起こったら上から看守がやって来るよな……もしそうなればブライアンの目論見は潰れてくれるけど)」


 しかし堅牢署から出る手立てが一つ消えることにもなる。

 ブライアンが敵か味方かはまだ不明だが、少なくとも能力を出汁にしている今は協力してくれる。

 そんな彼を今失えば俺も損失は大きい。

 それ故にこっちも協力するハメになる。


「(早期に終わらせるなら麻痺を使うしかないか……)」


 猶予は約十秒程という長いようで短い間にこの状況の最適解を考える。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ