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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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書きかけ、そして言い分

 

 引き出しの中にあったのは、先程の脱獄の報告書。それもまだ書いている途中だ。

 経路、被害、脱獄の手法や能力の詳細、それぞれの言い分という名の経緯が記載されている。

 それらの中でも気になったのが各々の言い分だった。

 あの若い医師シュンポウの言い分は、


「治療中のキリ・ヘルクレットが目覚めたかと思えば突然暴れ始め、一人の医師を人質に取った。

 その騒ぎに他の医師たちが寄って来てしまった時に脱獄した子供によって医師たちがさらに殺害される。

 それに憤慨し、我を忘れて交戦していたため口汚い言葉で彼を殺そうとしていた」と。


 よくもこんな嘘を吐けた物だと少しばかり関心さえしてしまう。

 しかしその言い訳は次の老医師(オブサム)の報告によって否定されている。

 彼は、


「シュンポウ医師が突如周りの医師たちを殺害し始めた。彼を止めようと駆け寄った者たちも殺害され、場が騒然となっていた。私も首を切られたが運良く即死には至らず、しかし動けずにいた時にキリ・へルクレットが目を覚ましシュンポウの妨害を行う。

 防戦一方だった彼女の手助けとして娼胃油しょういゆの瓶を割り、女は左手をシュンポウは左目を炎症させた。

 ・追記、シュンポウは鎮静薬の効果がなく、状態異常に抵抗が見られたため恐らく何かしらの魔道具を所持していたと推察。

 そこへ子供が乱入し、体術と固有能力を用いてシュンポウを迎撃。

 騒ぎで駆けつけた看守によってシュンポウは捕縛されたが、子供への殺意を剥き出しにしばらくの間抵抗した」と。


 俺は最初の方を見れていなかったから一部始終を見ていた人がいて助かった。

 それに状態異常が効かなかったのはやっぱりそういう魔道具を所持していたからか。

 でも『魔眼』にはそれらしい情報は出なかったのはなぜだ?


「(これで俺が脱獄したことに対しても少しは推し量ってもらえるとありがたいけど……)」


 情状酌量を願って、さらに下へと視線を移す。

 その先は俺の言い分が綴られているのだが、その部分が書きかけである。しかし報告書としては概ね出来上がっている物だった。

 おかげで色々と知ることが出来た。


「…………というのに、お前はどういう神経を……」


 未だ部長に対して無下な態度を取ったことに小言を述べている看守。

 他の看守たちは困惑した表情であたふたしている。特に出稼ぎの彼は他の看守と小言を言う看守、そして俺の方を順に見回している。


「(上司の説教中って周りも気まずいよなぁ……)」


 昔、バイトをしていた時のことを思い返し彼らに同情する。

 しかしそんな彼らの犠牲の中で少なからず得られた情報。

 ただこの報告書だけでは「なぜ若い医師がそんな行動に出たのか」が分からない。是非とも首長たちにはそっちの情報も引き出してもらいたい。


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