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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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義理、そして怒り顔

 

 ひとまず深呼吸をして落ち着く。取引で先に報酬はもらっている以上こちらも対応しなくては不義理だ。

 問題は俺がお探しのキリサキだとどう証明して、証明した上で潔白を晴らすか。

 本当なら部長の協力をする前に書類の確認をしたかった。しかし早過ぎてまだ何も出来ていない……!

 と、なれば今取るべき手段は──


「待ってくれ! ついさっき大量に魔力を使ったから、まだ能力が使える程の魔力はないんだ!」


 逃げる一択!

 一度切りの手だからこれ以降は使えない。しかし少なくとも多少の時間を稼ぐことは出来る。

 この手段だと持って六時間前後だろう。それだけあれば大抵の能力を使う分の魔力は回復する。

 眠気は我慢して、その時間に探すしかないのは辛いが、なんとしても書類を見つけ出すしかない。

 首長ならまだ話が通じたかもしれないが、部長相手ではこの手しかない。

 だからその間に書類とあと余裕があればブライアンも見つける。


「チッ……戻しておくように」

「はっ!」


 その言い分に納得してくれたらしく、部長は険しい表情を浮かべるもすぐに踵を返してその面を俺たちに見えないようにする。

 そして最初と変わらぬ声音で命令を出して部屋から消えて行く。


「(てっきり文句の一つや二つくらい言ってくると思ったけど……ただその代わりに三十代の看守が鬼の様な表情でこっちを見下ろしているが)」


 部長が来てからは我関せずの様な顔をしていたが、今は大分ご立腹な様子である。

 目が吊り上がるとは恐らく今の彼の様な顔を差すのだろう。


「(しかし部長が納得していなくなってくれたのは助かった。急いで首長の部屋を探そう)」


 何かあると困るので片目だけ『天眼』を使い首長の部屋を覗く。

 室内は明かりが点いていないため真っ暗だが『魔眼』に少しだけ魔力を流せば昼間と変わらない状態になった。

 まだどこかへ出かけているらしく首長は部屋にいない。


「お前、何故魔力がないことを事前に言わなかった?」

「……こっちは連行するとだけ言われて牢屋から出されたんだ。何をするかなんて聞いてない」

「看守部長が呼んでいると言ったはずだ」

「用件を言われていないんだから事前に報告なんて出来ないって言っているんだ」


 看守は肩を震わせ、徐々に語気が強くなって行く。

 そんな彼に突き放すような言い方で返しているためなおのこと怒りが増して行く。

 囚人ではあるが怪我人でもあるのにギッチギチに拘束してくれた彼への少しばかりの仕返しだ。

 まあ、脱獄した囚人だから拘束を厳し目にするのは当然であり、完全に逆ギレではあるのだがそこは置いておこう。

 それにただ仕返しがしたいだけでもない。


「(もっと怒ってくれると上手く行くかもなので嬉しいのだが……)」


 彼の様子を片目で見ながら首長の机の上に置かれている書類を確認する。

 さっき見た物とは別だが、今回の件とは関係のない事件の報告書だ。昨日冒険者の一人が筆頭となり貴族を殺害、ねぇ。

 物騒な世の中だ。

 そんな物騒から早く立ち去りたいのだが、可能としてくれる書類はどこだろう。


「(ありそうなのは、あとは棚の書類束? いや、内容的にはそっちより引き出しに入れる方が可能性は高いか)」


 そう考えて引き出しの中を覗く。


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