倉庫、そして態度
そうして連れて来られた事務所横にある部屋の一つ。
中は倉庫となっているらしく色々な荷物や書類が大量に置かれており、棚はあるのにその荷物のせいで棚に何があるのかまでは分からない。
『千里眼』を使い内部の構造を探る。
荷物のせいでかなり狭く感じる部屋の広さは大体六畳ほど。しかし体感では四畳、空いているスペースはたったの一畳半。
棚の後ろに窓があり、そこから外に出ることが出来る。ただし、棚とその前の荷物に邪魔されて出れない。
「看守部長を呼びで行きます」
「ああ」
探索していると俺を拘束し、運んでいた内の一人が少しだけ惜しい文法で彼に告げてから駆け足で部屋を出て行く。
ニーナがアンタレスの公判の時に同じ感じだったのもそうだろう。
文法が少しだけおかしくなるのは、恐らく他国の言語だからなのだろう。
英語を単語ごとに直訳した際に文法がおかしくなるように、彼は頑張って伝えているが翻訳すると崩れてしまっている。
「(俺と変わらない歳に見える。他国で就職……出稼ぎだろうか?)」
彼について少しだけ気になってしまい思考が逸れてしまう。
そのことに気がつき、頭を振って考えを戻す。
「(置かれている荷物には今回の件をより詳しく知れる物はないか。まあ、こんな所に置いているはずもないよな……)」
これ以上探索を続けても無意味そうなため『千里眼』を戻す。
四、五分くらいして先程出て行った看守が戻って来る。
「連れて来ました!」
大きな声で帰還を告げる恐らく出稼ぎの看守に鋭く、やや怒りと不快感を宿した目を向ける三十代の看守。
何かが気に喰わなかった様子のようだが、何も言わずにそんな目を向けられた出稼ぎ看守は困惑と焦りを漏らしてしまう。
彼が連れて来た看守部長は二人の様子など気にも止めずにこちらを睨み見下ろす。
「(拘束して無理矢理連れて来たのはそっちだろ……)」
部長の態度に不快感を抱き睨み返しそうになるが堪える。
呼ばれた理由は不明だが少なくとも睨み合いをするためではないだろうし、ここはこっちが引くとする。
「で、なんで俺は呼ばれたんだ?」
「……報告書は読み終えたな?」
「……ああ」
こっちの質問は無視し、自分の訊きたいことを先に尋ねてきた。
その態度に再び不快感を抱いたが素直に答える。
「なら早速キリサキの捜索をしてもらおう」
部長はぶっきらぼうに命令してくる。
「(取引を持ちかけたのは俺だが、この態度は酷過ぎるだろ!)」
取引上ではこっちは協力者だ。囚人や看守という関係ではあっても、もう少し謙っても良いと思う。
敬いの気持ちくらいはなくて良いから言動に気にかけて欲しい。欲しいが、首長への態度を考えると彼はそういう性分なのだろう。
自分より下の者や気に喰わない相手には謙ることも敬うこともしないのだろう。
そして上司が上司だからその部下である三十代の看守もそんな態度で周りと接しているのだろう。




