二週間、そして感覚違い
えーっと……二週間前なんて何してたっけな……
大体一週間前にリリーの件を知ったから、さらに一週間前。
憶えているのは久しぶりにクエストを受けたことくらいだけど日帰りだしな。
いや、報告へは受注の三日後に行ったからそれでなんとかぁ……なる訳ないよな。
「(そもそも事件が結構前だからそれのアリバイを探すのが面倒だ)」
なんで二週間も前の事件で今頃になって俺が犯人だなんて……いや、落ち着け。事件後に犯人がすぐ特定されることもあれば何年もかかる場合もあるよな。
今回も二週間かかって犯人が俺となっただけ。
そんな簡単に犯人が判るなら警察も警邏も苦労しない。
だから二週間かかってもおかしくない。
「言葉の通りだ。脱獄が行われたのは十四日前の明け方前。見張りの交代時を狙う辺り相当調べておったのだろ?」
「……取り乱して話を遮ったのは悪かった」
その二週間で犯人が俺だとなった経緯を知れれば冤罪だと証明することが出来るかもしれない。
だとしたらむしろこれはチャンスだ!
無駄に心理戦なんてしなくても良い訳だし。
「十四日前に起きた脱獄が俺だって証拠は? こっちはやっていないんだからそんなのがあるとは思えない」
「それは自分たちがやったという証拠を確実に消したがための物言いか? それとも何か別の、キリサキの失態の確認か?」
「冤罪を晴らすためだ。こっちはその日近くはギルドのクエストに励んでいたんだからな」
とりあえずこれで反応を窺う。
正直これでいけるとは思っていない。クエストの期間なんて調べればすぐにバレる。
だからそんなことは警察だって警邏だってしているはずだ。
ただこれでどこまで把握されているのかを知れる。
「下らん。キリサキがコカトリス討伐を受注したのは事件の四日前。終えたのは前日。そんなことで誤魔化せると──」
「は? 四日前? いや、そんな訳ないだろっ。さすがにそんなにズレている訳ない!」
鼻で笑われたがそこまで時間感覚は狂っていない。
少し腹が立って、またしても彼の言葉を遮ってしまった。
「ギルドの受注歴や冒険者たちからの証言で割れている。下らん嘘で──いや……そうか。小僧、お前はずっと気絶していたな。大方そこで時間の感覚があやふやになったといった所か」
蔑んだ目を向けていたのに少しだけ考え込んだかと思えば、今度は顔にまで嘲笑を浮かべて及追究し始める。
「……なるほど。子供、貴様がここへ来たのはいつだと思う」
すると今度は首長が尋ねてくる。
その質問に困惑と少しばかりの怒りを覚えつつも返答する。
「昨日だろ?」
すると首長の顔は曇り、部長はやや目を細める。
「やっぱり……」
「小僧。お前がここに収監されたのは四日前の夕暮れ時だ」
「っ!?」
彼から告げられたことに再び固まる。
「(意味が分からない。四日……てことは、俺は三日間も気絶していた……? そんなに気絶するものなのか?)」
さっきの勘違いとは違い、これは部長によって告げられたこと。
おまけに首長の反応からしても事実の可能性が高い!
投稿が遅くなり申し訳ございません。
書き上がりかけた所で文章の大半が消え、それに気がつかないまま上書きしてしまいました。
なんとか修正いたしましたが、不備がございましたら申し訳ございません。




