聴取、そして脱獄方法
「そんな先入観でこんな子供に対してなんちゅう態度じゃ!」
女看守の叱責によってかゲンコツによってか二人の男看守たちは肩をすぼめている。
言っていることは上司としても仕事としても正しいのだと思うが暴力はやり過ぎだ。
「しっかりと誠実に対応せんか! 分かったなっ?」
「「は、はいっ!!」」
彼女に教育された看守たちが再びこちらを向く。
その目から怒りは消えていないが、涙目に怯えが混ざった物に変わっている。
「それでその後はどうなったんだ……でしょうかっ?」
「早くはな──んっ、お話ください!」
このへりくだりようである。
少しやり難いけど、さっきよりはちゃんと話しを聞いてくれるだろう。その点で言えば彼女には感謝だ。
「えっと、それでそのシュンポウがリリーを殺そうとして、偶然起きたキリが彼と戦闘をすることになって。ただあと少しの所で彼女が負けて殺されそうになったけど、ギリギリ俺が間に合った。それだけだ」
「はあー? シュンポウ医師は──」
「おい! おいっ! マズいって! 落ち着け!」
再度最初の看守が怒り出そうとするも声が大きくなる前にもう一人の男看守が止めに入る。
彼に止められた看守は我に返り、二人揃って女看守の方を見る。しかし彼女は何かを考え込んでいる。
そして不意にこちらに視線を向けた彼女の顔には困惑した表情が浮かんでいる。
「待ちな。間に合ったって、一緒にいたん訳じゃないのか?」
「俺は最初の方は牢にいたし、ここまで結構離れていたから大分時間がかかった。だから間に合ったって言ったんだ」
「ますます分からん。まさかお前さんは脱獄したと言う気か?」
「……ああ。した」
「……どうやってだい? 子供に壊せる程柔くない」
当然の疑問だ。だから訊かれることも想定出来ていた。
「切り落とした」
「……何をだい?」
「檻を」
「どうやって」
「能力で血を回転させて切り落とした」
正直に答える。
『水流操作』で可能な限り血を電気丸ノコの要領で高速回転させ、時間はかかったが出られる分を切断した。
この時ばかりは身体が小さくなっていたのがラッキーだった。
そして脱獄後は氷の蛇で移動し、キリたちの元に着いた訳だ。
「……それを信じなって言うのかい?」
「事実だからそこは信じてもらうしかない。檻を壊したのも脱獄したのも申し訳ないと思ってるっ」
冤罪とはいえ投獄中の者が、本当の罪を犯してしまった。こればかりは言い繕うことは出来ないしする気もなかった。
それでキリたちを助けられるなら安い代償だ。
この世界での犯罪歴が生活にどう影響を及ぼすのか。大罪人が連れて行かれた所は知っているが、もしそこに送られても悔いはない。
「能力持ち……こんな子供が……」
後から来た看守が声を漏らす。
そんな彼の言葉で何かに気がついたのか、最初の看守がキッとこちらを睨む。
「そんなバカげたことを信じられるか! もし能力で脱獄したって言うなら今ここで見せてみろ!!」
さっきよりも声のボリュームを上げて叫ぶ。
「(ここで見せる、のは少し難しいな……)」
彼の注文にたじろいでしまう。
普段なら簡単に見せることが出来るのだが、今は今までで一番それが出来ない状態にある。
だからその要望に応えられない。




