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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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荒げる声、そして降りかかる拳

 

 監視に連れられて医療監房から少し外れた場所にある二人牢。

 そこにいた囚人は空いている別の牢に無理矢理移動させられ、誰もいない状態にしてから尋問が始まった。


「何があった?」


 看守は怒りの混ざった低い声音と目で尋ねてくる。

 子供に向ける態度ではない。それだけ今回のことが許せないのだろうけど……

 嘘を吐く必要もないから正直に答えるつもりだが、問題は信じてもらえるかなんだよな。


「そんな訳があるか!」


 全部を話終える前に声を荒げる看守。

 分かってはいた。しかし想定していたよりも声を上げるのが早い。


「あれはキリサキの仲間であるあの女がやったことだ! お前が答えるのは『はい』か『そうです』の二、ぶぅっ?!」

「っ?」


 こちらの経緯を聞かずに怒っていた看守の頭に稲妻の如くゲンコツが飛んできた。


「なんちゃう聴取の態度じゃ!」


 彼に拳を喰らわせたのは俺を縛った縄を持っていた屈強な女性看守だった。

 頭を押さえて唸っている男よりもガタイが良い。身長も筋肉量もデカい。

 そんな人のゲンコツは果たしてどれ程の威力だったのだろう。想像すると身体が強張る。


「子供じゃろうが、犯人側の人間じゃろうが冷静に聴取せいと毎回言っとるじゃろ! 良え加減覚えんか!!」


 見た目はさっきの指示をしていた男と変わらなそうなのに、その顔と声に宿る迫力のせいで彼より全然怖い。


「おい子供! お前さんももっと声を出して答えんか!! 仲間が人殺しだと言われとるんじゃぞっ」

「……腹の中の怪我で大声を出すと痛いんだよ」

「そうなのかっ。でもそんな物は気合じゃ! 気合で耐えて、腹から声を出せ!!」

「(無茶苦茶言うな…………)」


 根性論で訴えかけてくる女看守に呆然とする。

 まあ、でもキリの元へ向かう時には気合で動いたから出来ない訳ではない。

 ただ出来るとやりたいはイコールにはならない。


「姐さんはもう少し手加減をぉ……」

「あん?」

「いえなんでもないです!」


 ゲンコツを喰らった看守が目に涙を浮かべて抗議するも一瞬で降参する。

 そんなコントの様なことをやっていると、また新たに看守が一人駆けて来る。

 新たに来た男が口を開く。


「そっちは終わったか?」

「全然ダメだ。この子供、シュンポウ医師がオブサム医師や他の医師たちを殺したって言い張るんだ。キリサキの手下か仲間だからって女たちを庇おうとしてやがる」


 こっちが話した最初に見た部分だけを今来た看守に伝える涙目の看守。

 もう少し先まで話したのに、切り取り方に悪意がある。意識が傾ているから部分部分でしか理解していない様子。

 出来れば新しい看守がこの二人よりまともに話を聞いてくれる人間であること願う。


「……そうか。やはりこいつもキリサキの手先か」


 が、その願いは届くことはなかった。

 なんでちゃんと話を聞いてくれる看守が聴取してくれないんだー……

 二人の男看守が蔑んだ目でこちらを見下す。


「何を言っとんじゃ、お前さんらはっ!」

「ぐえっ?!」

「あぼぉっ?」


 そんな二人の頭に再び彼女からゲンコツが落とされる。

 兜越しであるためかなり鈍く重い音が鳴るのだが、そもそも痛くないのだろうか?

 殴られて痛そうにしている彼らの姿を見て、ふとそんな疑問を抱く。

 それと同時に突然ゲンコツを喰らわせたことに驚きつつ、さっきよりもどこか迫力の増した顔を浮かべている女看守の動向を窺う。


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