捕縛、そして命令外
「グソガキん子が(グゾガギグゴガ)……!!」
「暴れないでください!」
「シュンポウ医師、落ち着いてくださいっ!」
集まって来た看守によって捕らえられた俺たち。
押さえつけられていたことなどが余程頭にきていたのか、看守数人に抑えられながらも殺意をこちらに向けて来る若い医師。
そんな彼の口には俺と同様に猿ぐつわを嚙まされている。
彼にも猿ぐつわが噛まされたのは意外だった。状況的に俺たち囚人が暴れて殺害したようにしか見えないと思うのだけど。
「中の様子は?」
両腕を縛られているので大人しくしていると中から出てきた一人の女看守に声がかけられる。
全員防具は同じだが、顔が見える造りの兜をしている。声をかけたのは四十半ばくらいの男。
目つきが鋭いがあまり怖いとは感じない。目が小さいからだろうか?
「オブサム医師が重症を負っており、先程別の診療所へ向かわれました! キリサキの仲間であるキリ・へルクレットも怪我を負っており、彼女の左手もシュンポウ医師と同じく肉が爛れ大きく腫れていました!」
「……それで?」
「はい。キリ・へルクレット、並びにリリースティアの両名はブライアン騎手隊長の命により治療後、治療監房内で経過観察、及び収監を行うとの事です。いかがいたしましょうっ!」
ブライアン。あの後どうなったかを見ていないけど、最初の約束は守ってくれているらしい。でも今の内容なら「いかがいたしましょう」っていうのは何に対してだ?
「あの男の命令はあくまでキリサキ一派の収監時のみだ。本件とは別だ。治療は行わずに両名を第六階層へと移送! 並びに署内外の警戒態勢を強化! 侵入者は見つけ次第報告と捕縛を行え!」
「「「「「「「はっ!!」」」」」」」
四十代の男が指示を飛ばす。それに従った看守が十名程来た道を引き返して行く。
「(マズいな。ことがことだけにブライアンの命令が効かない状況となってしまった。キリの治療がされないとずっと痛みを感じ続けるままだ。せめて麻痺で痛みを……ああ、でもさっき発動しなかったしなぁ……)」
状況の悪化に頭を悩ませる。
すると近くにいた看守が立つように命令してくる。
「来い」
前後に看守が着いて、先頭の看守が歩き出す。
従うしかないがもう少しゆっくり歩いて欲しい。歩幅も違うし、何よりまだ歩くのも痛いのだから。
しかし文句を言う訳にもいかないので必死に我慢しながら着いて行く。
連休中だけですが頑張れました。




