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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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僅か、そして狙う

 

 呼吸をある程度整え終え、彼を捕縛するべく動く。

 しかし男の方も動き出し再度首を絞めようと手を伸ばしてきた。

 それを払い除けて相手の懐に入る。


「(入る……っ!)」


 鳩尾を狙って拳を放つ。が、寸前の所で動きが止まる。

 動けない……!?


「(何? 今度は何が起きているのっ?)」


 またしても身体が動かなくなる状態に困惑する。

 そうしている間にすぐに動けるようになり、止まっていた腕を伸ばせるようになる。

 しかし僅かとはいえ、止まっていた訳だから男は容易にこちらの動きに合わせて動ける。

 殴りかかった腕を掴まれ、勢いよく引かれる。

 それにより体勢が前のめりに崩れた所にすかさず足払いをされ地面に倒れる。


「うぐっ!」


 ただでさえ怪我で動く事が厳しいのに、片腕を取られ上に乗られてしまっては身動きが出来ない。


「はっ、はっ……はあぁ……なぢで、はぁ……動けん、ですかっ? 呼吸しんでながっだでしょうに! なぢでっ?!!」

「ぐぅっ!?」


 背中側の胸の部分を膝で押される。

 呼吸がし難い……苦しい……

 抵抗しようとするもまた身体を動かす事が出来ない。


「(どう考えても固有能力。魔道具の可能性もあるけれど、それらしい物は見えなかった。だから能力の方だと思う……だけど能力は?)」


 相手を動けなくさせる能力、というのなら最初から使っていれば良い。

 それに最初の反撃後に使えていれば、今の状況にはもっと楽に移れた。

 つまり条件がある方の能力。

 思い出さないと。彼がどこで能力を使っていたのかを……


「ゔぁー……(はづ)めてんですよ。私の能力かんら(のが)った人は」


 彼の能力について考察していると息を整え終えた彼が正解だったと教えてくれる。


「(やっぱり能力だった。あとは条件だけど)」


 答えに行き着きつつあると知り、少しだけ余裕が生まれる。

 だからこそ彼の行動に違和感を覚える。


「(何故殺さないの? この状況ならしゃべっているより先に殺せば良いのに)」


 いつ東や先に殺された男達の仲間が来るかも分からないし、もう殺すのは容易な位置なのだから殺せば良い。

 それなのに何故私に情報を与えて猶予まで与えるのかが分からない。


「どやっだんです? 教えるんです!」

「(……私が反撃した事について訊いている?)」


 確かに能力的に私が動けた事は納得が行かないと思う。

 でもそれはこっちも同じ。私だってなんで動けたのか分からない。

 腕や身体は動かなかったのに右脚だけが動けた。

 だからどういう事なのか説明しろって言われても答えられない。


「(返答したら殺されるだろうけど、答えなくても殺される)」


 この二択を選んでいる僅かな猶予でどうにかするしかないけれど……

 魔力量的に『迅速』は使えてあと一回。それも少しだけ加速させる分しか使えない。


「(右脚は……)」


 少しだけ足を動かして確認する。

 動く……でもさっきので動ける事は警戒されいる。


「ギんリギリしゃべるん様にしています。さあ、(こだ)ってください!」

「ぁ、がっ……!!?」


 取られた腕を強引に引かれ、肩が外される。

 痛みで意識が飛びそうになる。

 おまけに腹部から熱を感じる。傷口が開いたのかしら?

 状況がどんどん大変な事になって行く。

 さっきの一撃後に捕えられなかったのが悔やまれる。

 やっぱり殺さずに、なんて言うのは東みたいなデタラメな強さがないと無理ね。



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