表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
406/517

居座り、そして水浸し

 

「条件はそれ一つで良いのか? ま、本当に期待されても困るが、他にあれば聞くぞ?」


 首長がどうか分からないのは仕方ないが、どこか彼は対応が軽い気がする。

 条件は他にもありはする。

 メルマンさんやサナたちの安否の確保。

 さらに望めるなら全員を家に帰して欲しい。が、それも誤解を解けば解決すると思う。

 それに望み過ぎて首長と会う機会を失ったら元も子もない。

 だからこれ以上は要求しないでおこう。


大丈夫(ばいびょふぶ)それだけで良い(ほへばへべひひ)

「そうか」


 するとブライアンは奥の牢に背を預け、こちらを向いた状態で座る。

 おまけに一息ついて力を抜いている。

 ……は? 何をやっているんだ? こいつは。


おい(ほひ)なんで座る(はふべふはふ)首長(ひゅひょふ)と会わせて(ほははへふぇ)くれない(ふへはひ)のか(ほは)?」

「あ? ……ああ、確認はあとでだ。しばらくはここにいる気だ」

「……なんのために(はふほはへひ)?」

「少しゆっくりしたくてな。気にすんな」


 手で払う仕草をし、目を閉じる。

 そしてしばらくして寝息がし始める。


マジか(はびは)……」


 その様子に呆れて声が出る。

 まあ、会えるように約束はしたから、今はそれを信じるしかない。

 とりあえずブライアンが目を覚まして首長との面会を取りつけてくれるまで時間が出来た。

 さっきの声について探れる。


「(どうせなら彼に地下十階について訊けば良かったな)」


 過ぎた条件まで行けば断られたかもしれないが、堅牢署内についてなら聞けたかもしれない。

『千里眼』のことがバレているのなら内装について知っていることも知られていそうだし訊けるとは思うが。

 いや、それこそメルマンさんのことを──

 ……今さらだな。諦めよう。

 先程の牢まで『天眼』を向ける。


「!」


 十分程度しか経っていないが、牢にいる男はまるで上から水をかけられたかの様にびしょ濡れになっていた。


「(この短い間に何があったんだ⁈)」


 水滴が髪から滴っているし頬や身体を伝っている。また、壁や手枷などからも水滴が滴っている。

 つい数分前に水浸しにあったのだろう。

 しかし底の方に水は溜まっていない。

 変わらずポイズンスライムはいるがそれ以外は何もない。


「……?」


 よく見るとスライムの周りの壁だけ途切れるように水滴がなくなっている。

 ただそれくらいしか分からない。他に何かあるのか?

『魔眼』でスライムの状態を確認する。


 ___________________

 ポイズンスライム:散歩

 Lv.50

 特殊:猛毒の身体。中心に核がある。

 ____________________


 どうやら起きたらしい。

 しかし……散、歩……?

『魔眼』の状態の表示とその下で微動だにしないスライムを交互に見る。

 何度か「散歩」という表示は見たことがある。

 その時はしっかりと歩いていたのだが……そもそもスライムが散歩をしているイメージが湧かない。

 新しい疑問が二つ。すでにあった疑問よりどうでも良いが、しかし気になる内容の疑問。

 この建物内では本当に何が起こるのか分からないし、下に広大な造り。

 やっぱりダンジョンだな。


『お前は神を信じるか?』


 などと考えていると再度あの声が頭に響く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ