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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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不明、そしてブライアンの扱い

 

「侵入され、脱獄されたのだから警備をより厳重にはした。が、それでもまだまだ足りていないだろう」


 再び侵入して来ると仮定するも、そうなれば解決出来ないことに嘆く。


「そもそもどうやって脱獄したのかさえ判っていないっ。これでは警備を強化した所でなんの意味もない!」


 思わず机を叩く彼女。

 今回のボアアガロンのボス“ラグナロ”を脱獄させた方法。これは現場で判明している。

 一部の壁が溶かされ、そこから差し込んだ光を利用して魔具で脱出。

 その道中の床もほんの少しだけ溶けており、壁と床には粘液が残っていた。

 そしてラグナロと彼を脱走させた男の足元にはぶよぶよとした気色の悪い魔獣、サンナンチュウという魔獣だそう。

 おまけにその脱走を手伝った男の肩には赤や黄色、オレンジといった色の羽毛を生やした魔獣ナシャージャが乗っていたそう。

 獰猛な肉食獣であり、その牙には麻痺毒がある。さらには透明になる魔獣ナシャージャ。

 それらを目撃したのが偶然にも冒険者上がりの看守だったためその危険性を認知し、すぐに逃走と報告の判断に至った。

 しかし例えナシャージャがいた所で脱獄までは叶わないはず。

 にも関わらずいつの間にか二名は脱獄した。それもこちらに被害はなしの状態で。

 ナシャージャは戦闘目的で連れてきたのではなかったのなら、その目的は一体なんなのか。

 そしていつ、どうやって脱獄したのかなど謎が多い。

 そのためまた侵入された場合、脱獄される可能性の方が高い。


「はぁー……もう、なんでこんなに手に負えないことばっかり起こるんですかー」


 解決の糸口すら見つかっていない脱獄問題。

 行方、脱獄協力者、犯行準備の証拠などキリサキに関する問題。

 襲撃者のその後も分かっていない。

 解決しないまま次から次へと問題が増えて行くこの現状に思わず悲鳴を漏らす首長。


「とりあえずしばらくの間は私が子供の警備に当たります。その方が何かして来るようならすぐに解りますし」

「うう……ありがたいですけど、ダメなんですよ。アッ君は今回キリサキ逮捕のために、わざわざ王国から来てもらっているんですから。襲撃者とか家宅捜査とかに回さないと刑法官が煩いんですよー」


 刑法官。日本で言う検察官である。


「そんなの気にしなくて大丈夫ですよ。派遣されたのは間違いありませんが、半分は私の意思ですから。何か言われても私の独断ってことにして下さい。それにこれ以上あの子供に何かされる訳にはいきませんから……」


 上からの圧力に苦労している首長に配慮する。

 実際刑法官がブライアンの行動に口出しをした所で、派遣として送られているだけの彼に刑法官の命令権はそこまで発揮しない。

 しかし目の前の首長は、彼の一時的な上司にあるため彼女からの命令や指示には従わなくてはならない。

 刑法官は首長を通してブライアンに命令を下すことは出来るが、別にブライアンの行動に首長は責任を持たなくて良い。

 ブライアンの行動による責任は、本来の上司が背負わなくてはならない。

 今回のような派遣では、あくまでブライアンなどは指揮下にあるだけ行動の制限は受けていない。

 そのため東の家を家宅捜索を行った際に取ったブライアンの独断行動に対して首長は責任を負わなくて良い。

 が、襲撃によって出た被害については対処を行わなくてはならない。

 このようにやや面倒な扱いであるブライアン。

 そんな彼だからこそ、その制度を利用して彼女の助けになろうとしている。


「アッ君……ごめんね。それじゃあ、お願いします」


 彼の気遣いに心から感謝をする。

 これで子供を襲撃されるという悩みは消えた。

 それだけでも大分楽になったと感じる首長。


「後はキリサキの仲間である女性たちですね」


 冒険者のランクで赤や青といった技量の者もいるため現在地下七階層に収容されている。

 対して東は地下三階層。

 これは怪我の具合もあるが事情聴取もまだ残っており、また警備を厳重かつ効率良くするためであった。

 そのため東は地下三階層の牢に投獄されている。


彼ら視点がもう二、三話程続きます。

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