修復、そして保つ
ゲートで誰か知り合いを連れて来るか?
でもそうすれば最悪その人も今回の件で捕まるかもしれない。
それに状況を伝える方法がない。さっきから全然しゃべれていないのだから。
本当にどうしたものか……
対策を考えながらゲートを使い治癒核に氷で管を作り、そこにナルミトルの血を入れた物を体内に入れる。
管の長さはいくらでも伸ばすことが出来るから腕が動かせなくても問題ない。
完治までさせるとなると彼女に使う分がなくなるから、とりあえず重要な肺と心臓、そこまでの血管だけで良い。
全身の血管も治した方が良いけど、そこは氷とかでなんとかするか。
あ、血管って大きい方が大事なんだっけ? それとも小さい方か?
首や脇、太ももには大きい血管が。肺や心臓も大きいのがあるが、眼や脳と同じで小さい血管も通っている。
今回優先するのは肺と心臓だけど大丈夫なのだろうか? 他も治さないといけないのではないのか?
……素人が考えても分からないし、考えた通りでいこう。
血液も『水流操作』で循環させれば傷を負っていても生きてはいけるだろう。
あとは身体の傷は、やっぱり氷で覆うか。
重要な内臓だけ治して、止血すればしばらくは生きていられるだろう。
例え警備員たちが手当てしてくれようが、なかろうが最低限の救命処置はしておくに限る。
などと考えているうちに肺と心臓、その周りの血管を治し終える。
続いてゲートを彼女の体内に繋げる。
それと同時に『天眼』も自分から彼女の体内に向ける。
申し訳ないが俺と同じで重要な内蔵だけ治す。血管も外傷も全て同じやり方で対処する。
鎧で身体がどうなっているか。それは外からでは分からないが、『千里眼』を使えば鎧の内側でも覗くことが出来る。
だからその処置で生きていられるなら──
「っ」
彼女の処置について考えていると視界が暗く、狭まる。
......ああ、マズい。本当に意識が保たなくなってきた。
警備員たちが来ても、どうなるか分からないからずっと起きていたかったんだけど少し無理そうだな。
最低限処置だけは済ませておきたい。保ってくれよ、俺の身体!
治癒核で彼女の内臓を修復。
それと併用して氷で彼女の傷を覆う。
今は出血を一時的に抑えて、内臓が治り次第血液に『水流操作』を行う。
それでも通りが悪い場所は血管を氷で補う。
血管と血管を筒状にした氷を繋げる。
肌と一緒だが、氷は放置すると低温火傷、凍傷を引き起こして最悪壊死する。
もちろんそれが起こる前には解除したいが、意識を失った場合はそうもいかない。
かと言って処置しなければ確実に死ぬ。俺も彼女も。
時間との勝負であり、気を失った場合は意識が戻るまでの賭け。
ああ、生きてたら傷に効く薬も所持しておこう。
方針を定めたタイミングで、彼女の内臓の修復と血の循環が終える。
それと同時に保っていた意識が完全に途切れる。




