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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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三枚下ろし、そして血溜まり

 

 私達の動きに合わせて子供の相手をする方も動いたらしく、再度魔獣が動く。

 しかし次は魔獣の頭部が揺れ動くだけで健在なままだ。

 攻撃をしてもしなくても位置がバレるのであれば時間を割く必要も、ましてや人員の半分が魔獣討伐にあたるのだから相手をする必要さえない。


「(なんなら早くやれと思われていそうだ)」


 言われなくともそうするつもりだが。

 先程の宣言通りシンは右をウは左の頭部を切り落とす。

 そして私が胴体を縦に真っ直ぐ三分割する。

 本来であればこれでどこに核があろうと割れる。

 しかしそれを割ったであろう感触が伝わってこなかった。

 が、切られた魔獣はまるで水に溶ける様にしてその姿が崩れ落ちる。

 その見た目はまるで先程まで広(・・・・・)がっていた(・・・・・)足元と同じ血溜まりの様である。


「な⁉︎」


 感触に疑惑を抱いていると左斜め前から小さく驚いた声が聞こえる。

 あまり声を出す事は芳しくないが、それだけの事態が発生したという事だろう。

 なので何を言うでもなく全員の視線がそちらへと向く。


「(......マジかい)」


 子供を狙いに行っていたそれぞれの仲間の前に最初と同じ姿の魔獣が睨みつけている。

 大きさこそ最初より三回り程小さいが。

 しかし顔が少し引き締まり、身体は滑らかになっているが鱗の模様がはっきりと浮き出ている。

 その容姿は先程よりも生物らしい。

 同種の配下、もしくは子だろう。

 そしてそれを使って攻撃を凌いだのだろう。

 それにしても進化する前の方が見栄えが良いとは......

 ゴブリンが進化するとホブ・ゴブリンやゴブリン・ジェネラル、最終的にはゴブリン・キングになる。

 もちろん全てのゴブリンがそうなる訳ではなく、突飛した力で戦い抜いた者がそうなる。

 その手の進化を遂げるのは大抵が能力持ちだ。

 そしてもし先程まで戦っていた魔獣が進化した個体であれば目の前に立ち塞がる六体の小さい魔獣は脅威ではない。

 進化してあの程度なら例え数が同数であろうとなんら問題ない。

 それに出す暇がなかったのかは定かだが、先程の魔獣......名前を勝手に付けるか。

 ......アイスネークで良いか。それの配下はレッサー・アイスネーク。

 ふっ、我ながら良い名前の選択だ。

 そのアイスネークの能力は恐らく『再生』。

 それが固有能力なのか種が持つ固有能力かはまだ分からない。

 しかしそれでも問題ない。


「各々でやるか、それとも私達でやるか」


 増えた魔獣の相手をどう振り分けるか二人に問う。

 ちなみに私は三人で狩る方だ。


「後者」

「ワシらでだ」


 その問いに対して即答で返すシンとウ。

 満場一致か。


「魔獣は引き続きこっちがやる! 好きにしろ!」


 仲間にこちらの動きを伝え、レッサー共を狩りに行こうとしたその瞬間。

 右足首に鋭く強い痛みが走る。


「んんっ」


 歯を食い縛り、声を殺す。

 そして何が起きたのかそちらに視線を落とす。

 すると私の右足首を覆う様にして地面から氷が伸びている。

 その氷が伸びている先は今し方倒したアイスネークの血溜まりからだった。


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