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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第18章 堅牢署からの脱獄者
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合言葉、そしてトイレ

 

「じゃあトイレに行っておきたいけど、どう出れば良い?」


 せっかくの相手から申し出であり、チャンスなのだからこれを活かさない手はない。

 本当なら王都から一度出て半くらいが良かったが、それでは断られる可能性の方が高い。

 もしかしたら子供だからってことで許されたかもしれないが、逆に所持品をいつ押収されるかも分からないのだから早めに対処する方が得策だろう。


「少し待て」


 提案をしてきた女が俺の要求に一旦の静止をかける。

 そして後ろの檻を叩く。

 甲冑と鉄の棒がぶつかり合い甲高い音を立てる。


「少年が催したらしい。開けてくれ」


 やや声を張って外に声をかける。

 するとすぐに外にいる甲冑の一人が女の近くに寄る。


「鮮麗で聡明な淑女が野草を見つけて言った」

「私が欲するは汝である。されどその命まではいらぬ」


 外にいたのは先ほど家で馬車に乗るように促してきた男が言葉を投げかけると、女がその後に続けて文を述べる。

 鮮麗で聡明なってつまりは才色兼備だろうに、なんでわざわざそんな言い方をしたのか。

 それらが合言葉だったらしくそれを確認した男が反対側にいる仲間に頷いて合図を送る。

 するとその仲間はそれに頷いて返し、檻の鍵を開ける。


「出ろ」


 彼は親指でサインをしながら命令してくるのでそれに従う。

 しかし出るとすぐに片腕と腹回りに縄を巻かれる。

 そしてその先端を外にいた男が握る。

 護送中の囚人じゃないんだから……あ、間違ってないか。


「逃げようなんて考えるなよ」


 そんなことを思っていると、本当に刑事物のドラマで言われそうなことを言われる。

 甲冑連中の実力は分からないがこの縄程度からなら余裕で逃げられる。

 が、メリットが少なくデメリットの方が大きいのでやらない。


「少年を便所に連れて行く。悪いが駐在所のを貸してくれないか?」

「はい! どうぞこちらです!」


 甲冑男が門近くの警備員にトイレを要求すると警備員の彼は敬礼と共に喜びの表情で答える。

 日本での敬礼は警察官がやる腕を曲げて、指の先をこめかみに向けるやつだ。

 そして敬礼はこの世界にもある。

 この国の敬礼は右掌を警察のように揃えて、それを上に向けながら左胸の下にくる様にして置く。

 これは掌の上に国のマークがくる様になっている。

 そして俺と甲冑男は警備員に案内され駐在所から少し歩いた所にあるトイレへと連れてこられる。


「こちらをお使いください!」

「ああ、どうも」

「いえ!」


 そんな簡単な謝辞を警備員に投げかけ、顎で俺に行くように促す。

 一応個室を使わせてくれるのはモラルからなのか、それとも子供だからそこまで警戒していないのか。

 どちらにしても隠すことは出来そうだな。

 指示通りにトイレに入る。

 そこにはウォシュレットつきの洋式便座が……あるはずもなく、目の前にあるのは汲み取り式ボットン便所である。

 貴族とかはもう少し良いトイレがしやすい構造なのだが、それでもボットンは変わらない。

 救いなのは臭いがしないことだろうな。

 視線を便座に向ける。

 日本の便座のように白ではある陶器ではない。とある鉱石の魔獣を削った物とまでしか知らない。

 というかそれ以上知りたくない。出逢った時に「あ、便座の魔獣」と思いたくないからな。

 ただその魔獣のではないが、この便座事態に魔道具が入っている。

 消臭の魔道具があるのでそれが埋め込まれている。

 これでも十分に良い物を使っている方なので、あの王様は意外と民想いだと言える。

 いつか絶対に日本のトイレを我が家に取りつけてやる!

 そう密かに誓いを立てる。


「(おっと、とっととやることを終えないと怪しまれるな)」


 別のことに時間をかけている場合でもないのでゲートリングを親指から外す。

 あとはこれを口の中に……確か指輪って結構雑菌がいるんだっけ?

 それをそのまま口の中に入れる。

 ……よく洗ってからにするか。

 心配が勝ったので宝物庫から水儒核の欠片を取り出し水を出す。

 ついでに昔から使っているボディーソープも取り出して念入りに洗う。


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