様子、そして考察
『どうせ見ているだろ。これはどういうことなんだ? どうしてこうなったんだ?』
甲冑の連中に連れられながらその道中で神様へ念話を飛ばす。
彼らは言われた通りに俺らを堅牢署に連れて行くため外に停めてある馬車へと向かっている。
ここから堅牢署まで馬車で三時間くらいか。
それまでにはある程度の状況を把握出来るだろう。
「……」
しかししばらくしても神様から返事が返ってこない。
いつもならすぐに反応する。むしろロスなく返して来るから毎日暇なのかとさえ思っていた。
さすがに一応王様をやっているのだからいつも暇ではないのだろうし、すぐには返せないのか?
なら少し時間を置いてからまた連絡するしかないか。
……なんか電話みたいな感覚だな。
少し不満を抱きつつ一階に下りると、彼らの仲間が十人ほど武器を手に待機している。
警戒している風ではあるが襲って来る気配はない。
最初は階段から降りて来る俺の方を注視していたが、すぐに視線を外して辺りを警戒し始めた。
『千里眼』でもう一度それぞれの部屋の様子を窺う。
状況としてはさっきまでの俺と同じで複数人に囲まれている。
しかし移動をする様子はなく、ドアを閉めて部屋の中で待機している。
すると俺の部屋から一番近いユキナの部屋にブライアンが訪れる。
そしてブライアンのようなその班の長らしき人物と何かしら話を始める。
観ているだけで音までは把握出来ないので、彼らが何を話しているのかは分からない。
何度か会話した後にブライアンと話をしていたやつが、後ろで待機している連中の方を向く。
するとユキナの部屋にいた班が俺の時同様に動き出す。
どこも連携の取れている部隊だ。ただの言いがかりをつけてきた、という訳ではなさそうだな。
そして首長と呼ばれていた女の胸にあったマーク。
彼女が告げた内容からして警邏の上の人間か国からの調査隊、もしくは法生司のような所からか。
どれにしても面倒なことが絡んでいるのは間違いないだろう。
「ほら、乗れ」
連中について考えていると外に停められている馬車の前で乗るように促される。
中には既に彼らの仲間が三人乗っており、結構狭い。
そして普通の馬車かと思えばそうではない。
外は一般的な馬車であるが、荷台の中は全体が鉄の棒で塞がれている。
つまり檻になっているのだ。しかも二重装甲で。




