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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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不満、そして気遣い

 

 指輪を再び着け、ゲートを一番近い騎士のそばに落ちている剣の下に開く。

 その剣を手元へと持ってくる。


「その剣だと戦うのも大変だろうし、これで我慢してくれ」

「ありがとう。でもこれで大丈夫」

「そうか。なら、これは俺が使うか」


 ずっと氷の剣でも良いのだが、何分脆い。切れ味も微妙だしな。


「それじゃ、三分だからな」

「うん」

「ええ!」


 最後に念を押してからそれぞれが対処する相手へと向かう。


「やっとかい」

「油断してはダメですよ」


 こちらの動きに反応してモリアはようやく武器を構え直し、優男の方は後方へと下がる。


「えー! ワイの相手、坊やちゃうんかい!」


 そんな優男を追おうとすると、モリアが声を上げる。

 対戦相手が相当不満だったらしく、がっかりしているのが声からでも伝わってくる。


「良いのですか? 逃げるのが得策だったと思いますが」


 下がり続けるかと思えば、急にこちらへと詰め寄り喉元目がけてロングソードを突き出してくる。

 右腕を前に出している構えであるため、その突きは最短距離で目標の位置まで迫る。

 それを左に身体を反らして避ける。しかし直後に横へ斬り返してくる。

 寸前の所で首へと迫ってきているロングソードとの間に、さっき騎士から拝借した剣を差し込んで防ぐ。


「俺もそう思うよ。でも彼女たちの言い分も分かるから、あの男の相手を任せることにした」

「しかしその考えはすぐに後悔するものとなりますよ」


 抑えたロングソードの下を掻い潜るようにして優男に迫る。

 掻い潜る際にロングソードを滑るようにして下から剣を抜いて、彼の腰から斜めへ向けて切り上げる。

 それを緑の剣、バルバ・ティンって言ってたか? によって止められる。

 そして空いたロングソードを上から振り下ろしてくるのを後ろへ飛び退いて避ける。


「どういう意味だ?」

「両名共推定レベルは五十五前後。赤と青のギルドランクですが、戦闘経験が然程ある方ではない彼女達ではモリアには勝てません。貴方の判断は二人を見殺しにするのに等しい行為です」


 ランク。ギルドで少し調べれば分かることだが、知られているというのは気持ちが悪い。

 そしてレベルについてサナはそうだが、キリのレベルは五十五前後ではない。彼女のレベルは八十に迫っている。

 よほどのことがない限り自分のレベルを公言する必要はない。

 だからランクから相手のレベル推測したのだろう。

 確かに全員が冒険者なので対人の戦闘経験は少ない。それでも時々模擬戦はしているので、対人でもそこそこ戦えると思う。


「敵を気遣ってくれるなんて優しいな。どうせならリリーに毒矢を使った犯人とかを教えてくれると、嬉しいんだが」


 今度は水だけを操って津波のように横へ広げる。

 それを目くらましにして右へと回り込もうとした時だった。


「それは教えられません」

「マジかよっ」


 優男がバルバ・ティンを横薙ぎに払うと、彼に襲いかかろうとしていた津波が切られた。

『天眼』で相手の動きを見ていたから辛うじてその一閃を避けることが出来た。

 氷の時といい平然と切ってくるな。

 切られて残った下部分の水に手を置く。そしてそこから氷の柱を優男に向けて走らせる。

 しかしその氷が愚直なまでに真正面からだったため、やすやすと躱されてしまう。


「公判の最中に撃たれた矢と毒だが、撃ったのは違うやつだった。お前の所の誰かが撃ったと考えているんだが?」


 氷を向かわせてからすぐに優男の左側から一気に距離を詰めて右袈裟懸け斬りを放つ。

 しかし当然だがあっさりとロングソードで受け止められる。


「私の知る所ではありませんね」


 端的な物言いで突き放し、こちらの腹目がけて蹴りを放ってくる。

 それを右に身体を反らして避け、同時に相手の右脚を左腕で捕える。

 さらに身体を捻って相手の重心をこちらに持ってこようとするが、途中で止まる。

 まさかの片足だけで抗われている。


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