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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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入れ替え、そして霧

 

 開くのはリリーの心臓の動脈。先に『水流操作』を使わなくてはいけないからだ。

 少し血が出てしまうのは許容範囲で、触れたあとはすぐに座標を自分の心臓に合わせる。

『千里眼』と『魔眼』を併用すれば体内であろうと普通に見える。

 リリーの血が俺に流れ、俺の血がリリーに流れる。

 胸に小さなモヤッとした、胸焼けを少し軽くした感覚。それがあるくらいでそれ以外は今の所ない。

 血液型問題も感じられな──


「!」


『魔眼』で身体の様子を見ているとリリーの霧の色が変化する。

 淡い黄緑色だったリリーの霧に緑にやや青色の混ざった緑青(ろくしょう)色の霧が混ざる。

 この色って、俺の霧だよな? なんでこのタイミングで?

 そんな疑問を抱いていると、徐々に緑青色が淡い黄緑色の霧に包まれるようにして消えていった。

 一体今のはなんだったんだ?

 突然のことに頭が追いつかない。が、今は終わったことを考えていても仕方がない。

 話を戻すと、問題は感じられない。

 血流はおおよそ三十秒で一周する。それを『水流操作』で無理矢理速めてはいるが、血管がどれくらいの圧に耐えられるのかが不明なので二十秒前後。

 肉体にすでに回っている毒はリリーの免疫力と抗毒剤が効くのを待つしかない。

 その前に血中に残っている毒を俺に移動して処理するのが今の工程な訳だが、時間がかかればそれだけ彼女の体内に毒が回る。

 最低でも一周、いや二周分! 少なくとも二周分は血を入れ換えて、元に戻したい。


「四十秒......頼む、持ってくれよ。リリー!」


 血の入れ替えを正確に判断する方法はない。

 だから『魔眼』で毒が抜けたかを見る。ただ全体を見れば毒が抜けたかは分かりにくいため、『千里眼』で血だけを見る。

 秒数では不安なので、能力で判断する。

 ............三つの能力を使いながらゲートリングに注ぐ魔力にも注意を払い続ける。

 この工程がとてもしんどいせいで、一秒一秒がとても長く感じる。

 やっぱり数えておけば良かったか? いや、秒数にまで気を回す余裕はない。

 それからどれくらいの時間が経過したのか。

 長い時間が経過し、ようやく血中から毒の表記が消えた。一周目が終了したのだ。

 しかしまだ安心出来ない。もう一周させて完全に血中の毒をなくす。


「!」


 まただ。リリーの霧に変化が生じる。

 そして終わり方も同じだ。緑青色が淡い黄緑色の霧に包まれるようにして消える。

 何かの変化を表しているのか?

 ......とりあえずこの件はあとだ。今は全部の能力に集中が必要になってきたことが問題だ。

 今まではなんの気負いもなく発動させていた『魔眼』と『千里眼』。

 しかし今は注視しているため無駄に多くの魔力を流しそうになる。

 そうなるとより多くの情報が視えるように、より視野の倍率が上げられて小さい物が見えるようになってしまう。

 『水流操作』は言わずもがな、速さを一定にさせなくてならない。

 さっきの戦闘での氷の剣といい、いくら入手したての能力でまだ扱い慣れていないとはいえ、丁寧な魔力操作が出来ていない。

 今まで適当に魔力を流せば良い感じに能力を使えていたから気にしていなかったが、こういう繊細な魔力操作も練習しないとな。

 ............もう二周目は終わっただろうか? 『魔眼』には表示が現れなくなっている。


「......良し。終わった」


 俺の言葉を皮切りに緊張に包まれていた空気が解け、皆の表情が晴れる。


「あとは──⁉︎」

「ぐあっ‼︎⁉︎」


 あとはリリーの免疫力次第っと言おうとした、その刹那。

 今までにない殺気を感じたかと思えば、氷の壁が切られた。

 そしてその殺気の先に目をやれば先ほどまで俺の横にいたはずのキリが背後に回っており、血飛沫を上げていた。



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