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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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対処、そして張り付け

 

「ニーナ! リリーの首横に毒針がある! 処置はその後だ!」


 すると小僧がウェンベルと攻防を続けながら指示を飛ばす。

 小僧から視線を再び女共の方へと向ける。

 先ほど声を上げた獣人が倒れた被告人の首を持ち上げて何かしている。流石にこの距離では手元までは見えんな。

 毒針......おかしいな。彼奴には不要になった証言者(ゴミ)共の処理しか命じておらん。

 エーデンかミドリのどちらかが何かを企んで始末したのか? あんなのを殺してなんの得があるかは知らんが、少なくとも小僧の意識は分散している様子。


「戦闘中に他人の心配とは余裕ですね」

「余裕があったらとっととあんたを倒して、仲間の元に行ってるよ!」

「それでは直ぐに向かえる様にしましょう」

「っ!」


 小僧から焦りが見える。それは当然ウェンベルも理解しており、そこを突いて攻める勢いが増す。

 キレのある動きのウェンベルに対して先のモリアとの戦闘で疲弊負傷を負っている小僧の動きは鈍い。

 それが顕著に現れ始めたのか小僧が押され始めた。


「まずはこちらをっ」

「うがっ⁉︎」


 そして一手、行動が遅れたために小僧の左手が切られる。

 血が吹き出し、ダラダラと血が垂れ始めたがやがてモリアの一撃同様に氷で覆い出血を抑える。


「ふむ、切り落としたと思ったのですが......私もまだまだですね」


 悔いているのかどうか、表情に変化が見られないため判断がつかんな。

 そして再び小僧へと切り掛かる。


「邪魔だあぁ!」


 その事が相当嫌だったのか、それとも事が上手く運ばない事に苛立ってなのか。

 小僧が叫んだと同時に氷の壁がウェンベルへと襲いかかる。


「それはむしろ悪手では?」


 しかしウェンベルはそれを有ろう事か剣でブロック状にして切り捨ておった。

 そして氷を出した事で逆にそれが目隠しとなり、小僧の視界からウェンベルを消してしまう。いや、そうなる様に奴が動いたのだ。

 そして死角になった所からバルバ・ティンを首に目掛けて振るう。


「見えてるよ」


 しかし小僧はそれを難なく避け、その一撃に合わせたタイミングで下から切り上げてくる。


「これは驚きました。まさか避けられるとは」


 その攻撃をもう片方の剣で押さえつける。

 完全に決まると思ったのだが、どうやって見破ったのか。小僧は「見えている」と言ったが、それは果たして事実なのかハッタリなのか。


「そう思ってくれるならもう少し反応を見せて欲しい所だな!」

「!」


 小僧の言う通り全く驚いたとは思えないウェンベルの表情の変化のなさに共感を感じていると、小僧の背後から氷が槍状の形となって向かってきた。

 しかしそんな攻撃はなんの苦にもならない様子で、バルバ・ティンによって細切れに切り砕かれる。


「んなっ⁉︎」


 そしてそのまま小僧の心臓を穿とうとした所でその動きが強制的に止められる。

 ウェンベルの背後に転がっていた氷が奴へと向かったのだ。確かに切り刻まれたはずの氷が、柱状になってまた奴に襲いかかった。

 それに反応が遅れた奴は腕を捕らえられ、次に脚を絡め取られる。

 モリアが氷漬けであるなら、ウェンベルはまさに張り付けの様な状態で捕まる。


「そこで大人しくしてろ」


 最後に首から口までを氷で覆い、命令のような言葉を言い残して小僧は女共の方へと向かう。

 あのウェンベルがああもあっさりとやられるとは、訳が分からん。

 モリアは確かに強い。しかしウェンベルの実力はモリアよりも強いはずだ。

 だと言うのに何故だ?



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