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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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攻防戦、そして支え

 

 身を仰け反らし避けた後、宙返りで後方へと飛んでウェンベルから距離を取る。


「ここからは私が相手をします。モリアも戦闘不能の様子ですので、文句はないでしょう」

「ありますよぉ」


 ウェンベルの判断に反論を述べるモリアを無視して、奴は右手と左手に剣を持ち、構える。


「退け。こっちにはやらなきゃいけない事が出来たんだ」

「こちらも貴方を殺さなくてはいけませんので、断ります」

「なら強引にでも退かす」


 互いの意見が相違であると分かると自身の間合いに相手を捉えるために距離を詰める。

 小僧が左脇腹へ突きを放つ様に見せてから直前で切先を上に持ち上げる。

 それを当たるギリギリの所で頭上横まで右腕を上げ、剣を斜めに垂らしその一撃を流す。

 そして下からバルバ・ティンを小僧の首目がけて、入り込ませるようにして切りにかかる。

 その一撃が入る前に小僧は右へ身を捻り、自身の攻撃が流された事で崩れた体勢を無視して無理矢理回避へと移る。

 その回避の際に剣を回転させたため金属と金属が強く擦れる音を奏でる。

 そこから攻撃を外したウェンベルの空いた左脇腹に左回し蹴りを放つ。

 あの体勢から右足だけでそれを放てるか。

 などとつい関心を抱いていると、突然ウェンベルが右手に持つ剣を手放す。

 当然抗っていた力がなくなったためその剣と小僧の剣が共にウェンベルへと迫る。

 しかしそれと同時に小僧の体勢が右から倒れる様に崩れ、蹴りが止まる。

 そしてそのまま自身の剣と小僧の剣に押され、一歩分だけ横へと動くと小僧の剣の軌道が下へと落ちる。

 その落下の途中でウェンベルが自身の剣を回収すると、あっさりそれが叶う。

 互いにさしてダメージを受けるでもなく終わったその攻防戦。

 小僧が一旦距離を取るために下がる。

 最後の方のみどうしてそうなったのかが分からないまま終わる。


「おい、最後の方、何故ウェンベルが剣を放した途端に小僧の体勢が崩れたのだ?」


 小僧を逃そうとせず、奴を追うウェンベル。そこから再び攻防が始まったのを見ながら、同じ動きを見ている騎士に問う。


「......申し訳ございませんが、私ではあの動きについて何があったのか解説出来ません」

「......貴様、何処の部隊だ?」

「はっ! ゼルゼリス部隊第十編成隊であります!」

「そうか。ゼルゼリスには良く言っておこう。貴様の様な兵が居ると言っておこう」

「......」

「......サヘル様、恐らくあの少年は蹴りを放つ際に右足だけでなく、剣でも支えていたのかと思われます」

「剣で? しかしあの時剣が回転したのだ、当然小僧の腕の向きも変わっていよう。それでも支えられると?」

「断言は出来ませんが、あの少年は色々とデタラメですし可能かと。その証拠とまではいきませんが、ウェンベル氏が剣を放した際に支えがなくなり体勢が崩れたのだと推察します」

「なるほど、ウェンベルのあの動きはそのためと捉えると合点がいくな」


 背後で私達のやり取りを見ていた騎士の一人が解説する。

 声からして若いあの騎士だ。隣に居る役立たずな騎士より余程動きや予測が把握しているようだ。




 

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