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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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不格好な剣、そして疑惑

 

 私の読みが当たっていたのを肯定するかの様に、小僧が先程までほとんど動かせていなかった右腕を回して、具合を確認している。

 その後左腕の直撃は避けただけの傷も癒す。

 擦り傷は放置らしく、重症な怪我を集中して癒したらしい。

 確かにモリア程の腕の立つ者の前であんな真似は叶わないだろう。

 だから雷光核で視界を奪った。

 そして未だ見えずにいるモリアに対して、ほぼ完全回復した小僧。

 当然、動く。

 すると二尺半ある距離を詰める小僧の手に武器が徐々に現れ始める。

 氷が伸びていき、まるで剣を形どる。

 しかしあくまで見た目がそう形どっているだけであって、不格好の極みだ。

 凹凸だらけの刃に腹。持ち手の剣全体も下に伸びるようにして出来上がっていくためか、氷にはヒビやら内部に区切りのような線が不定期に入っている。

 素人が剣を打ったとしても、もう少しそれらしい物が出来るだろう。

 それに道中には先程落とした剣も落ちているのだから、それを拾えば良い。

 何故あの様な剣と呼んで良いかも怪しい物を使うのか?


「......目ぇ奪って殺す気なら、もっと静かにせんと」

「んっ、ぐうぅ!」


 剣を振り上げた小僧に向かって、そちらをしっかりと向いて彼は告げる。

 そして小僧の右腕目がけて槍を突く。

 攻撃を仕掛けるつもりだった小僧にとって、その一撃が想定外だったのか、それとも予期はしていたのか。

 その一撃を今し方作り上げた剣を以って防ぐ。

 しかし突きの威力の方が上だったらしく、氷の剣が音を立てて壊れる。

 それが威力を殺し、逃げる時間は稼げたため当たる事はなかったが、砕けた氷が小僧の顔を掠る。

 思わず後退する小僧をモリアが追う。

 小僧の姿が見えているのか、モリアは小僧に向けて再び突きや薙ぎ払いを繰り出す。

 それを先程よりも早く、氷で剣を作り上げガードする。

 しかし二、三撃程受ければ、氷は先程同様壊れる。

 壊される度に作り、壊されを繰り返す。小僧の方は攻め返す事なく、防戦一方の状態となっている。

 やはり視力が回復しているのか、小僧が距離を離そうと、モリアの背後へ移ろうと追えている。


「......視えていないんだから、無理するなよ」


 しかし小僧はそれを否定する。


「小僧は何を言っている? どう見ても視えているだろうに」

「恐らくですが、軌道かと」


 小僧の発言に得心がいっていないでいると、私の疑問に先程私の怪我の応急処置をした男が答える。


「続きを話せ。どういう事だ」

「はっ! 私が見る限りでは、槍使いの軌道は微妙に少年を捉えておりません」

「......つまり?」

「見えているから狙っているのではなく、おおよそに狙いをつけて攻撃している......恐らく音、もしくはただ気配だけを頼りにそこに居るのだと考えて攻撃しているのだと推測します」

「そんな芸当であそこまでの探知は可能なのか?」

「......正直あのレベルで的確に動く事は並みの者には無理です。高い集中力だけでなく、攻撃を当てるための勘や判断力が必要になりますので......先程までの動きだけでも、恐らく部隊長と互角かと」

「それ程まで......」


 驚きと共に落胆する。

 実力もそうだが、逆に言えばうちの騎士はエーデンの隊長クラスではないという事に驚きと落胆がある。



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