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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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肉眼、そしてあの時の

 

 肉眼では獣人の視力ですら手に何を持っているかを分別するのは難しい。

 しかしそれを詳細には見極められずとも、証拠品である頸鉄鎖(ペンダント)とは違う何かだという事は『千里眼』を用いて分かった。

 が、それはあくまで固有能力で見抜けたのであって、肉眼ではほとんど分からない。

 つまり東以外の普通の者達ではそれを知る術はないのだ。

 そもそも液晶テレビが出た頃くらいの画質でそれなりに距離があるのでは、見分けるのは難しいだろう。

 映像は続き、へーネルとリリーが言い合いを始めた。

 そしてしばらくの言い合いの後にリリーが逃げ出し、その後をへーネルが追いかける。

 一連の流れを見ていたフェーネは、駆け足で彼らがいた場へと向かい辺りを見渡すが、既に二人の姿は見当たらなかった。

 代わりに彼らの後を遅れて追っていた東達の姿は遠目で確認が出来た。

 しかしフェーネはもう彼らを追う事はなかった。

 縁もゆかりもない誰かが追われて、その後を追っているのかさえ不明な者達を見たからといって自分から首を突っ込む事など、まずしない。

 故にフェーネは追わない。

 しかしそれは彼らを追わないというだけで、たまたま(・・・・)次の彼女の主人が持つ店が同じ方向にあった場合は別だろう。

 彼女は結果的にリリー達が向かった方へと向かって行く事になるが、故意ではない。

 そうして東達が通った裏路地を通り過ぎて行く。

 それもそのはず表通りにある店を目指しているのだから、裏路地へ行く必要はない。

 東達も既に奥の方へと行っていたため入り口付近では、視界の端にさえ映ってはいなかった。

 ここまでで最初の証言者の発言が誤りである事が少なからず証明された。

 今の映像の中に彼女の姿はなかった。

 しかしそれだけなら何処かから見ていたという事もある。なので確実に嘘であった事は証明出来てはいない。

 これではなんの証明にもならない。

 そう東が考えていた時だった。


「おい!」


 彼女の正面右横から数人の男達が現れる。


「お前、見覚えのフェーネだな?」

「サヘル様に売りゃあ、高値で買ってもらえるそうだな」

「大人しーくしてれば、痛い目も怖い目も遭わずに済むぜ」


 そう気持ちの悪いニヤケ顔で言い寄って来るのは、ユキナを攫った連中だった。

 フェーネも自身が周りからどう思われているかは理解している。

 故に彼女の近くには、こういうバカ共から守ってもらうために護衛が必ず三人以上は潜んでいる。

 しかしその護衛はなるべく顔を晒すのを避けなければならなかった。

 他者に顔を知られればそちらを事前に潰されてしまう事を危惧してだった。

 そのため彼女はある魔道具を持たされる事が許されている。

 映像が暗闇となり、目の隙間から眩い光が差し込む。

 それと同時に男達の悲鳴が上がる。

 彼女が持たされていたのは雷光核であった。そこに一気に魔力を流し、閃光弾のような働きをした。

 そして彼らが視力を奪われている間に東達が入った路地裏へと入る。



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