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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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看破、そして兆し

 

 一向に答える気配のない茶毛。


「どうなのか答えてくれ。でないと話が進まない」


 その様に業を煮やしたのか、小僧が話の進展を促す。

 そんな彼奴からの催促によって、より一層と此方を見てくる様になる茶毛。

 私はアレがどうなろうとどうでも良い。

 しかしこの状況でどう答えるかは楽しみにしている。なので私も早く答えてもらいたいと考えている。


「サヘル様。この状況どうするんですか?このままじゃあ、あの小僧の変な魔道具で“ケミュン”の証言が嘘ってバレてしまいそうですが」


 するとへーネルが横から囁く。

 ケミュン......?誰だ......話しぶりからして恐らく茶毛の事か?

 まあ、アレの名前なんぞどうでも良いがな。


「黙れ。構わず続けさせろ」


 そう簡素に伝える。

 もはやこの公判に意味などない。勝敗に関わる優劣もだ。

 しかしそれを知らぬ茶毛(ケミュン)が、どう動くのかを観るのを愉しむ。

 それを自身で邪魔をするなどあり得ん。

 故にこの男にも変なマネなどされては困る。黙って観ているのが賢明だと親切に伝えて(・・・)やったのだ。


「......承知、しました」


 へーネルも理解したらしく、大人しく引き下がった。

 全く。役立たずな庶民には一々教えてやらねばならんのだから、上の身分の者は苦労が絶えん。

 テヲロの様に自ら動いてくれると助かる。まあ、あいつも時々言わねばならん時もあるがな。


「あ............私は、最後......しか、見ていません」


 彼女がそう答えると、球が美しかった蒼から鮮やかな紅へとなった。

 それが何を意味するのかを理解したのは、東とキリ達四人、法生司長、法生司、そして法官だった。

 残りの者は理解出来ず、行方を窺っている。

 答えた茶毛はもはや涙を浮かべている。

 彼女は自身の虚偽の証言(・・・・・)が魔道具によって暴かれたのだと思い、上司に不利益が生じたのだと考えたからだ。

 しかし──


「紅。つまり今のは嘘である、という事です」


 法生司長がその意味を伝えた事で、他の者も先程の返答が嘘であった事を知る。

 そのため東達は驚愕の表情を浮かべている。

 そう今の(・・)彼女の発言が嘘であったという事は、東達には全く有益な情報にはならず。

 むしろ不利益が生じる可能性すらある。

 しかし当然打開も可能。


「(茶毛の発言が全て嘘であると見抜いて、それを確認出来れば問題なくなる。だが証言者の話に違和感を抱いていたとはいえ、全てが虚偽であると指摘してはいなかった。つまりそこまでしか、まだ気がつけていないという事!)」


 これは......図らずして茶毛はファインプレーをしてのけた!

 このまま続く様であれば、勝つ兆しすら見えてきた。

 はっはっはっ。随分と神に愛されているなぁ、私は。

 つまりこれは、このままの流れで進むに違いない。



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