続け様、そして繋がり
「そしてその魔道具は事前申請されていないのに、使用を許されました。過去にそんな事例があったんですから、私達が使っても今回の問題ないのではないでしょうか?」
続け様に娘は虚偽を吐く。
しっかりと練っている様だが、結局は無駄な足掻きだ。
「......確かに当年の公判では、申請がされずに魔道具が使用され、それが公認されました」
......あったらしい。実際に行われた公判の内容だった。
つまりあの娘の嘘ではなく、真実を話していた。
そうなると、またしても此方が不利になる。
「しかしあれはしっかりと認められた理由があるから公認されたのであって、今回の公判でそれは満たしているか?」
これ以上小娘が何かを申し立てる前に、牽制として異議を申す。
それにしても牽制として思いつきで述べたが、思ったよりも良い所を突けたと思える。
このまま何も出来ずに終えられれば行幸。
「えっと......はい。当年の公判で事前申請が公認されたのは、その部下の証言に不備が見つけられたから、です」
何処か怯えた様子で声に震えがあったが、公認された理由が述べられる。
「犯行を否定する...被告人の供述は.....徐々に崩れていき前後の繋がりがあやふやになっていきました。そうして嘘であるという事の証明するので使用されたのが、先ほどの魔道具です」
「それで......なら、それが認められたのは何故だか、そこを理解して言っているのだろうな?」
いくら不備が見つかったとはいえ、事前申請なしの魔道具の使用は原則許されていない。
それが許されたというのなら、つまり明確な理由があったため。
それを答えられなければ、結局は無駄な供述となるだけ。
私も把握していない公判の内容であるため、迂闊な事は言えん。しかし知らぬからと言って、出来ぬという事にはならん。
「使用出来た条件の一つとして、今し方述べたように当時の被告の嘘を証明するため。そしてもう一つ。こちらが重要で、被告人と当時法生司を務めていた一人との繋がりが疑われたからです」
「⁉︎」
法生司との繋がり!ここに来てあの小娘は、あり得ない内容で事を成そうとするとは....
話からして、その被告は一商会の部下。
そんな庶民と差して変わりないそんな者が、何処をどう繋げていけば法生司と繋がれるというのだ。
あの緑と名乗っていた女が、法生司長にまで手を伸ばせたのは謎でしかないが、法生司ですら此方の手中に収めるのは厳しい。
いやはや、それを知ってか知らずか。
......そんなあり得ない、バカげた内容を出したのは何故だ?今の話からでは、自分達の状況を打開出来る策が思い至らず、致し方ない展開へと運んだのか。
何にせよ、法生司長はその内容を知っているのだから、そんな下らん内容へ変えては......ん?
待て、本当に何故そんな内容へとわざわざ曲折する意味がある?
法生司長は知っているのだぞ?それにそんな話、今の貴様らには関係のない話ではないか。




