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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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文句、そして見栄

 

 長く言い合いになるかと考えていたが、目の前の女はすんなり引いた。

 その際に「では数日後にまた参りますので、その時に」と言われ、ただ先延ばしにしただけだった。

 結局女は、その要件だけを伝えるとすんなり帰って行った。

 そして女が去ったのを確認した後に──


「あの様な者からの情報など、信用出来ません!」


 臣下から早速文句が飛んできた。

 普段よしなにしている商人や奴隷商などは、分を弁えて事前に申告をしてから商売の話しなどをする。

 もちろん出所をしっかりと証明している。

 しかし今回訪れたあの女は、前者はあったが後者が全くなかった。

 つまり何処の誰かが全く分からない。

 そんな相手からの情報なのだから臣下の言い分は至極当然といえる。

 しかしそんな事、サヘルとて百も承知。


「私とて信用などしておらん。だからあの小僧について出た情報を調べさせる。ついでに、女が提示したやり方を使えるように、そっちの情報も集めさせる」

「......」


 既にそういう段取りなのだと言わんばかりの言い方をしているが、残念ながら違う。

 これは臣下に対して「やっておけ」と言っている。

 他者が聞けば、部下にそう指示を出す計画でいる様に聞こえる。

 自身ではほとんど動く事なく、ただ命令しているだけな彼だが、誰に聞かれていてもそれらしい振る舞いをしていると思わせるため彼はこのような言い回しをしている。

 つまり見栄である。

 その事を理解している臣下は、サヘルの指示を受け、頭の中でこの後どうするか計画を練っていく。


「(あの女がこっちをハメる算段なら、それなりに回避する事も、排除する事も叶う。多少の頭金くらいなら、後で奪えば問題ないから、いっそ情報が正しくとも色々押さえてから排除するのも.....いや、顔は見えなかったが、確か胸はなかなかであったか。身体も見た限りでは、特に問題なかった。奴隷にしてしまうのもありだなぁ。ゲッ、ヘヘヘ)」


 黙り込んだ臣下の隣で、そんな事を考える。

 しかし下卑た笑みと笑い声を抑える事が出来ず、その声は臣下の耳に届いた。

 だが、そんな主人の姿を見るのはこれで初めてという訳でない。

 むしろ何度も目にし、耳にしている光景なので「またか」と思いさして気にせず、先ほど練った計画を遂行するためにその場を後にする。


「......!そうだった。テヲロ、ドグラの件どうなった」


 彼が完全に去る前に、サヘルが思い出したかのように問う。

 そして先ほど文句を言っていた臣下、“テヲロ”と呼ばれた男が振り返る。


「先日、仰せの通りに始末しておきました」


 テヲロは事もなげに、主人の命令を遂行した事を伝える。

 実際彼は、一市民を始末する事などもう手間だと感じてすらいない。

 ドグラとは、サヘルから渡された魔道具を使ってユキナを誘拐し、売りに来た男。彼とは、過去にも何度か奴隷での取り引きなどを行なっていた。

 では、何故始末されたのか。

 それは東が暴れたからである。

 正確には、そんな彼が暴れる原因であるユキナを連れて来た、というのが問題となった。

 しかしそれを説明されたとしても、納得出来る言い分ではない。





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