表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
262/516

思惑、そして提案

視点変更

 

 _____________

 ________


 東がリリーを助けるため、情報を色々と探っていた頃。

 その様子を見ていた貴族は、思う。

 今に見ておれよ、小僧!今、その憎たらしい顔に、絶望の色を塗りたくってくれる。

 そう考えるサヘルの顔には、悪魔のような笑みが浮かべられている。


「(どうせ奴等には勝ち目なんぞ(はな)からない)」


 東と、そして被告人を見ながら彼は思う。何故なら、そうなるよう事前に準備しているからである。

 この公判が行われる前。リリーが訴訟される、少し前の事。

 東によって与えられた自身への怪我、及び部下数名の負傷と壁の修繕工事。

 それに追われ、怒りに打ち震えていたサヘルの元に、怪しげな自身を“緑”と名乗る女が現れた。

 フードで顔を隠しており疑ってくださいと言わんばかりだったが、この様な者は結構彼の元へとやって来る。

 なので多少の懸念はあれど、話は聞くようにしている。

 その者は言った。


「貴方の屋敷を襲撃した男の事を我々は知っています」


 その言葉に、あの時の怒りが再び煮えたぎる。

 公にしていないはずの情報を握っている彼女。普通に考えて怪しさしかない彼女。

 そんな彼女が提示した怪しい情報。

 彼はその情報について聞いた。東にあの時の復讐が叶うなら、ある程度の費用くらい問題ないと。

 ふっふっふ!アズマ・キリサキ!待っていろ。貴様に一泡吹かせ、貴様のその忌々しい顔に絶望を貼り付け、民衆の前でその愚かさを悔い改めさせてから処刑してくれる!

 女からの情報で、東の名前とそして今回の訴訟を起こす案を聞いたサヘルは、さらに顔を歪ませる。

 その様子をフード越しに見ている女の表情は窺えない。何が目的なのかさえ、掴めない。

 しかしサヘルからすれば、そんな事は些細な事にしか思えない。それだけ東に対する怒りと憎しみが大きいからだ。

 女の計画では、東が関わっている事案を探し、それにサヘルが大きく関与しているという事にする。

 そうする事でその事案は、重く大きな問題へと膨らむからだ。


「(最悪の場合は、暗殺者でも向かわせれば良い。住まいがある程度検討がついているとの事だ。それにしてもあの小僧は、生意気にも屋敷に住んでいるそうだ。どう見ても金がある様には見えなかったが、恐らく上手い具合に貴族にでも取り入って離れでも貰ったのだろう。とことん忌々しい。あんな小僧に家を与える方も与える方だ。余程の阿呆なのだろう)」


 そう彼は、東に家を与えた者を笑い者にしていた。


「時に貴様。その様な情報を一体いくらで売りつける気だ?」

「いえ、代金は要りません」

「......何?」


 守銭奴であるサヘルが、ある程度なら支払っても良いと考えていた矢先、まさかの返答であった。

 しかしサヘルとてそれで首を縦に振る程、甘くはない。


「金が要らぬのなら、物か?宝石か魔道具、それとも奴隷か?土地か?流石に爵位は難しいが、それなりの栄誉なら叶うぞ」

「どれも必要ありません。お代自体、要らないのです」

「それはならん!」


 女のあり得ない返答に、しかし彼は強く否定する。

 経験上、無償程怖いものはない。ましてやにこんな訳の分からない女からの御代だ。

 サヘルがそう考えるのは、至極当然であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ