表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
260/516

遮る、そして質問の意味

 

 しかし彼女の答えに異議を唱える者が二人。


「だーかーらー、話が理解出来ないなら黙ってろって!見てたやつが、持っていたと証言してるんだから、それが事実に決まってるだろ」

「貴様らが幾ら足掻こうが、幾ら下手な言葉を紡ごうが、あった事実までは変えられん。そこの、言葉を理解出来ないその獣を下げろ。不快だ」


 サヘルは俺に向かって告げる。

 確かにその通りだ。後半の部分はどうでも良いが、彼女が何を得たいのか。さっきの言葉の意味はなんなのか。

 そこがさっぱりだ。


「ニーナ」


 ゆっくりと彼女はこちらを振り返る。

 さっき彼女が言ったことを思い出す。“ その方が言ったは最後に被告が持っていたというだけです。それが今回の盗まれた物だという証明は、まだされていません”。

 これの意味を単純に考えると……


「気にしないくて良い。続けて」

「……はい!」


  彼女は笑顔を浮かべて返事をしてくれる。


「おい!お前ら、これ以上に、公判をめちゃくちゃにする気か!」

「法生司長!あの獣風情共の戯言など、もうどうでも良かろう!さっさと判決を下せ!」

「そうですね。貴公等の質疑には、今公判には無関係であると判断。被告人は、サヘル・トライスチレム・ボワン伯爵の使者、へーネル・トレ氏から預かり受けた頸鉄鎖(ペンダント)を略奪、加えて暴行。また、被告人の犯行の加担に加え、多くの民衆に残虐非道を働いた“アズマ・キリサキ”。当両名に判決を──」


 相当気に喰わなかったらしく、サヘルが公判を終わらせようとする。

 なのでこの法廷の内側を完全に氷で覆う。

 うん、細かく操るのはまだ難しいが、この程度ならちょっと誤差は起こるけど使えるな。

 高さが二メートルほど伸びたり、先が鋭利な氷柱がまばらに生えているくらいの誤差だ。


「「貴様っ!」」


 内側にいた二名の門番が、武器で脅しながら俺の前と横に立つ。

 さっきは反応しなかったのに、今回は動く。単に反応出来なかったか、それとも何か別のことがきっかけになっているのか。


「判決はまだ早い」

「……これはどういうつもりですかな?判決の邪魔は、許されざる行為です」

「確かに邪魔をしたのは、悪いと思っている。だが、判決はまだ早い」

「…………であると言うのであれば、それが正しいと示せるのですか?」

「そうだな…さっき彼女が言ったこと、“最後に被告が持っていただけ”。その通りの事実じゃないのか?」

「事実を告げた証言。それを否定しても、結果は変わらない。それでも目を逸らし、無駄な言葉を紡ぐ。それは、無意味な事だ」

証言で(・・・)述べられたのは、事実だろう。だが、それが“どこからか”までは、述べられていない」


 その言葉にへーネルがわずかに反応した。

 考え直してみて、ようやく理解が間に合った。ニーナの言葉の意味。


「答えは、まだちゃんと出てない。これじゃあ、足りないか?」

「…………分かりました。では、公判を再開──」

「それはならん」


 納得させられたと思いきや、まだ難癖をつけたい様だ。



法生司長=裁判長


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ