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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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賭け、そして進展

 

 そんな過去のことを思い出そうとする。


「......どうしたんだ?ぼーっとして」


 しかし何も話そうとしない様子を見て、店主が少々訝しみの表情で尋ねる。


「ああ、いや。すまない、考えごとをしていた」


 交渉の途中で相手からの反応がなくなったのに加えてぼーっとし出したのであれば気にもなる。


「それで?何か良い案でも思いついたかい?」

「まあ、『良い』案かは怪しいが、思いついてはいる」


 良い、の部分だけ強調するために強く言い、宝物庫へ手をやる。


「いやはや全く。交渉ってのは難しい。そういうのはバカには向かないようだ」


 そう笑顔で言いながら、三ドドンを出す。


「っ⁉︎」


 先ほどの三倍の額が机に置かれ、再び店主の表情が変わる。


「これはベガまでの交通費なんかだ。足りないようなら言ってくれ」

「いや.....十分だよ......」

「それは何より。そして──」


 再び宝物庫から物を取り出すが、さすがに片手では無理なので、両手でそれを少し強めに机の上に置く。


「この店を畳む際にその貴族へ渡す額とかも込みで、ここから退いてもらうための資金だ」

「──っ⁉︎」


 資金として五ドドン。


「さっき言った通り、未確定なことに大金を賭けるのはバカのやることだと思っている。それでも賭けてみることにした」

「.....正気の沙汰とは思えないね」

「貴族を相手しようと思っているからな。それにあれこれ策を練る暇もなかったから、少し賭けてみようと思ってな」

「なっはっははっ!本当に狂ってるねー!あたしだったら諦めてるよっ」

「諦められない内容なんだ」

「そんなに件の子が大事だと?」

「当たり前だ」


 後ろにいる皆もそれに賛同してくれる。


「良いタマしてんじゃないか!それじゃあ、せっかくなんだし有難くいただくよ」


 彼女はそう言って机の上に置かれた貨幣へと腕を伸ばす。

 そうして一ドドンだけを取って、その腕を引いた。


「毎度あり」

「!どういうつもりだ?」


 その彼女行動に思わず怪訝な表情を向けて問うてしまった。

 しかし彼女はそんな事気にも留めず呆気らかんと答える。


「どうもこうも、フェーネを買う気なんだろ?それの代金をも貰っただけじゃないか」

「それは分かるが、残りは?」

「要らないさ、そんな大金」

「は?」


 彼女の言っていることが理解出来ない。


「どういうことだ?」

「あのなー、坊や。商談ってのは互いに利益だけがあるって訳じゃないんだ。何処かで面倒事が発生するんだよ。そんな中でこんだけの金額を貰って、更には他国で店まで構えさせるっと言われる。後者は未確定とはいえ、十分破格な提案さ」

「だったら──」

「だから、だ。こっちはそれにどんな返しをしろって言うんだよ」

「別にそんなのは求めてない。俺が用があるのはフェーネさん。そうしたらあんたが買うなら、何を寄越すと言ったから提示したに過ぎない」

「そうだったとしてもこっちとしては怖いんだよ。それに忘れてないかい?」

「.....何を?」

「あたしはその時に言ったはずだよ。“仮に”って」

「.....」


 そう言って彼女はにかぁーっと笑う。

 しかし俺は、ついさっきまでの話のはずが、そんなことを言っていたか憶えていない。




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