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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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奴隷、そして失敗

 

 店外へ出てから人気の少ない方へ路肩を沿って歩きつつ、念話を繋ぐ。


『少し訊きたい事があるんだけど』

『......あの少女かい?それとも今の話かい?』


 もう知っていることは無視だ。むしろ知っていることを前提にしているのだから。

 人気のない所でゲートを開く。


『奴隷についてだ』

『ふむ......条件次第では、お金を上げなくもないよ?』

『そこは気にしてないよっ!』


 真面目な声音(トーン)になったと思ったら、これだよ!ちゃんと金は持っている。ベガの貨幣の方が多いけど。

 裏路地からギルドへと向かい、受け付けへ足を運ぶ。

 そうではなく──


『ベガでは奴隷の売買は禁止されているんだろ?確か所持もダメだったはず』

『くふふ、そうだね。この国では何方(どちら)も御法度だね。アズマ君の国で言う所の銃刀法と同じと考えてくれて構わない』

『それで考えると他国で奴隷を売買したり、所持していても大丈夫ってことで良いのか?』

『問題ないよ。ただし持ち込んだのがバレたら、分かるね?』

『ああ。気をつける』


 とりあえず必要だと思える分だけ両替えをする。


『......それと奴隷についてまた後で色々と聞きたいことがある』

『ふむ。まあ、楽しみに待っているよ。終わるまで』

『そうだな。リリーの件が終わったくらいに行かせてもらう』


 再びゲートで戻る。そして皆のいる店の前まで歩く。

 ....さっきから人をあまり見かけないな。ここは店もちらほらあるのに。

 そんなことを思いながら念話を切る。


「すまん、待たせ───ん」


 謝りつつ店に入ると、重いたい雰囲気が皆を包んでいる。


「悪いね、坊っちゃん。こっちも商人の端くれなんでね、口が達者なんだよ」

「ごめん....なさい.....アズマ、さん......」


 振り返ったニーナの目には涙が溜まっている。

 この状況で真っ先に思いついたのは『虐め』という単語。さっきまでの流れでそんなことあるとは思えないのに。


「.....」

「.....」


 思わず店主を睨みつけるが、彼女も臆せずこちらを睨んで来る。

 自然と手が宝物庫へと向かう。

 しかしそこで俺の肩に手が置かれ、そちらに顔を向ければその手を伸ばしているのはキリだった。


「落ち着いて。それは絶対にダメよ」


 彼女は真剣な顔で諭してくれる。


「.....そうだったな。ありがとう」


 宝物庫から手を退け、ニーナの元へ歩み寄る。


「辛かったな。ごめん」

「ごめん....なさい.....」


 ニーナのことは皆に任せ、俺は女店主へと向き直る。


「待たせて悪かった。さて、話の続きを」

「ふん、その話はなしさ」

「.....なし...とは随分と急で。一体なぜそんなことに──」

「白々しい。そこの嬢ちゃんが口を滑らせてくれて、よーやく腑に落ちたよ。ずっと店から出た事のないフェーネを初めて見る坊やが欲しがるなんて。ましてや奴隷と知らずに....嫌だね!うちを面倒事に巻き込まないでおくれ!」

「.....理由を知っているなら話が早くて助かる。協力してもらいたい」

「今、しないって言っただろ!聞いてなかったのかい!」

「聞いてたさ」

「それでも、か?」

「......」

「はあぁぁぁああぁぁあぁぁぁ.....」


 沈黙で肯定を表すと、彼女は大きくため息を吐いて席にどかっと座る。




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