棄却、そして休息
数分ほどで皆の所へ出向き終え、申し訳ないが作業を中断し集まってもらった。
「皆、ありがとうな」
まずは集まってもらったことに対する礼を述べる。
そういえば彼女たちは寝ているのだろうか?
そんな疑問がふと湧いた。俺は、故意ではないがエルフの里でかなり寝てしまったので、元気だ。
あとのことは俺が引き受ければ、彼女らも寝られるのではないだろうか?
なら予定を変えるか。
「早速で悪いけど、皆には一度家に帰って欲しい」
「「「「っ⁉︎」」」」
その一言に彼女らは驚愕した。
「な、なんで急に、そんな....⁈」
「そうです!私、何かしちゃいましたかっ⁈」
「納と、く出来な、い!」
「私達、まだ戦えるわ!」
全員血相を変え、抗議してくる。
「皆の不満も分かる。でも、無理をさせ続ける訳にもいかない。家へ帰ってくれ」
「......そんなに私達が、足手まといなの?」
「違う。一度帰って休息をとって欲しいんだ」
「それならアズマも一緒で良いんじゃない?」
「俺は悪いが、すでに休んでいる。だから気にせず休んで欲しい」
「それでもアズマさんだけ行かせるの悪いです!」
「悪いがもう時間もそこまでない。恐らくリリーを乗せた船はすでに出ている頃だ」
「そ、れでも、少しく、らい、なら....」
「いや、もう準備もほとんど揃った。あとは....念のため証言が欲しい」
時間が経ち過ぎているから出来る可能性はかなり低い。
それでも探す!
「......はぁー。皆、これ以上はもう無駄そうよ」
キリがため息を吐き、そう嘆く。
「分かったわ。一度私達は戻って休みましょう」
「ありがとう」
「「「......」」」
キリが折れ、了承してくれた。そんな彼女に三人も反対の意を示さないので、恐らく皆も了承してくれたのだろう。
「あっ!でも、人質はどうするつもりなの?」
「それは俺が連れて戻るから、安心してくれ」
「ゲートを見せるんですか?」
「うーん、最悪の場合の時は使おうと思っているけど、出来ることなら使わないつもりだ。ただ、まだ能力の制御が完全じゃないから、ダメだったら仕方なく使うかな」
「能力って、あのロングソードを使っていた男の時に使ってた、氷の柱を生み出す、あれの事かしら?」
「あれは能力を応用しているだけで、実際は少し違う能力だ」
「....アズマって、なんでそうポンポン能力を獲得出来るの?普通無理よ?」
「そういう体質なんだよ、多分」
「エル、フよりも、お、おい」
「...」
確かに俺も疑問だったけど、今回のは異例なほど大量に手に入った訳だけど、俺もどうしてそうなったのか知っている訳ではない。
なのでそこまで質問責められても答えられない。
「よーし、決まった訳だし。さっ、皆存分に休んできてくれ!」
無理矢理話を切り離し、家へと繋がるゲートを開く。




