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新たな仲間、そして報酬

 

 遅めの晩御飯を食べるため外の出店で済ませようとしたが、どうやらこの時間には既に店仕舞いしているそうらしい。そうしたらニーナがご飯を作ってくれるっと言ってくれたので俺らはそれに甘えることにした。


「は、はい、どうぞ」


 数分して料理が出来た。クリームシチューのようなスープが出てきた。作っている間もそうだったが、出来たこの料理はよりいっそ良い匂いを発している。美味しそう。


「いただきます」

「「「いただきます?」」」


 俺が手を合わせて合唱をしたことを初めて見る親子は不思議そうだが俺は気にせずに木のスプーンを手に取ってスープをすくって口に運ぶ。


「ん...美味い!美味しいよニーナ」

「うん、これ美味しいわ」

「うん、美味しい、よ」

「あ、ありがとうございます」


 このスープの具はよく分からない物だらけだ。しかしそれでもこのスープは美味しい。

 皿はすぐに空になってしまった。


「おかわりもらうぞ?」

「は、はい」

「ならさ、私の料理も食べてみない?」

「「いいっ⁉︎」」

「お、良いのか?」

「ええ」

「あ、あの、アズマさん、それは!」

「はい、どうぞ」

「おお、....」

「「「「.....」」」」


 今俺の前に出されたサナの料理?は鍋に紫色のスープが満たされそこからは魚の骨やら野菜を半分にしたやつや何かの調味料が袋ごと入って浮いている。これは本当に食べ物何ですか?


「ささ、アズマ、召し上がれー」

「お姉ちゃん、流石にそれは」

「そうだぞサナ。それをアズマ君が食べられるはず」

「いや食べるよ」

「「「「え⁉︎」」」」


 俺の意外な発言に俺とサナ以外の全員が驚いた。いや、俺も覚悟を決めてるんだからね。


「いや東、それは流石にちょっと」

「やめた方、が良いよ?」

「いただきます」


 俺は意を決してスプーンをスープに浸してスープをすくって口へと運ぶ。


「んん」

「「「「⁉︎」」」」

「どう?」

「....あ、ああ...お、美味しい...よ」


 あ、あれ? ...い、意識...が...。

 ドサッ!


「「「「「あ、アズマ(さん、君)‼︎⁉︎」」」」」


 俺は完全に意識がなくなって椅子から転げ落ちて床に倒れた。


 ______________


「んん...ん?ここは、ディグリーさんのベッドか?」


 目が覚めると俺はディグリーさんのベッドで朝を迎えていた。窓から差し込んで来る朝陽の光が眩しい。

 そういえば昨日は夕陽の光が、今は朝陽の光が差し込んでいるけど、どうなっているんだろう?太陽が2つあるとか?帰ったら神様に聞いてみようかな。


「すぅー...ふぅー...」

「ん?」


 すぐ近くから寝息が聞こえてきたのでそちらに視線を向ける。そこには椅子に座りながらディグリーさんのベッドで腕組んで枕代わりにして寝ているサナの姿があった。寝顔が可愛い。

 とりあえず俺は昨日の夜の曖昧な記憶を探す。確か昨日は...あれ?昨日の夜辺りを思い出そうとすると何故か身体が嫌な気分になるし、吐き気のようなものが襲ってくる。


「ダメだ、思い出せない」

「んん...あぁ、アズマ、起きたのね」

「あ、ああおはよう、サナ」

「...おはよう」


 サナは寝ぼけながらなぜか挨拶しずらそうに返してくれた。


「ところでさ、昨日の夜の記憶がないんだけどさ、何で俺がここで寝ているんだ?」

「あー...ニーナ、そうニーナが突然現れた虫に驚いて持っていた鍋がアズマの頭に当たって気絶しちゃったからお父さんがここに運んだの」

「そんなコントじゃあるまいし」

「コント?」


 疑いたいけど記憶が曖昧だから信じるしかないのだが、しかしどうもしっくりこない。


「えっと、それで他のみんなは?」

「ニーナは朝食を作っていて、キリとユキナはお土産を買って来るってさっき出店へ行っていったわ」

「そうか」

「私はニーナにアズマが目を覚ましたことを伝えて来るわ」

「ああ、頼むよ」


 サナは部屋を出て行った。


「今のうちに少し用事を済ませておくとするかな」


 俺は宝物庫からカレメローンの鱗を取り出す。俺はどうもこれが気になっているのだ。カレメローンの身体に付いていた時は透明になることが出来たのに俺がこの鱗に魔力を流しても鱗が見えなくなっただけで、俺を見えなくさせた訳ではないからだ。

 鱗に魔力を流して透明にする。


「これをどうやったら身体を見えなくさせるやら」


 とりあえず実験をするしかない。しかし今は大それた実験をすることは出来ないので、鱗に流している魔力をドレインで吸い取って緑色の鱗に戻して鱗をよく触ってみる。


「?」


 指先から妙な手触りを感じたので、鱗を横に向けて側面を見る。すると鱗が僅かだが曲がっている。

 左手の甲に内側を甲に当てるとパズルのピースがぴったりハマったようにしっくりくる感じがした。魔力を流してみるとその部分だけ透け始めて完全に透明になると手のひらに穴が空いたように透けている。


「成功した」


 これで悩みの種が1つ消えた。


「「ただいまー」」

「お、お帰りなさい」

「2人ともお帰り。....アズマ、ご飯出来たから降りて来て」


 下の方から元気な声が聞こえた。どうやらキリとユキナが帰って来たようだ。それを出迎えたニーナとサナ。サナが階段を登ってきた。


「ああ分かった。すぐ行くよ」


 サナに答えながら布団から出る。

 そう言えば、ここへ来る前にキリと約束があるから、ゲートで甘味まで帰る訳にはいかないな。

 そんなことを思い出しながら扉を開けて、階段を降りてサナと一緒に下へ行く。


「東!良かった、目が覚めたのね⁈」

「良か、った」

「良かったです」

「ああ、みんな心配かけて悪かったな」


 3人が俺の姿を見るなり表情を明るくして俺に近寄って来た。なんだか嬉しいものだ。


「すいませんでした!」


 いきなりニーナが頭を下げた。


「お姉ちゃんが作った料理のせいで、アズマさんにご迷惑をかけてしまって」

「もう気にしないで、俺ならほらこの通り元気だからさ」


 そう言ってその場で軽くジャンプをしてみせる。本当はまだこんなに動けないのだが、みんなに心配をかける訳にはいかないので少し無理をする。


「それなら良いんですけど」

「本当にごめんね、アズマ」

「良いって良いって」


 俺の様子を見て安堵の表情を浮かべるニーナ。その横で謝るサナに軽く返す。

 グゥゥゥゥゥゥゥ


「「「「「.....」」」」」


 唐突に腹の虫の音が店の中で響いた。言っておくが俺ではない。確かに俺も腹は減っているが音は鳴っていない。

 全員の視線が腹を鳴らした少女の方へと向けられる。少女は頰を耳まで赤くして視線を避けようと下を向いている。


「キリ。あなたさっ、きたくさん食、べたよね?」

「....」


 キリはさっきよりもさらに頰を赤くして黙り込む。

 キリのことだからさっきから漂うこの美味しそうな匂いを嗅いだから、食欲が復活したのだろう。


「あ、あ、朝ご飯が出来ているので、食べましょう。アズマさんは胃に良い軽い物を用意しましたので」

「お、おお、それはありがとう。さ、みんなもごちそうになろうぜ?」


 ニーナのフォローのおかげで気まずい雰囲気を脱することが出来た。

 

「さて、そろそろ帰るか」


 ニーナの美味しいご飯を食べ終えて一息着いてからみんなに聞く。


「そうね」

「ん、帰る」


 キリとユキナもそう言って椅子を引いて立ち上がったので、俺も立ち上がる。


「ねぇ、アズマ」

「ん?どうした?」

「お願いなんだけど、私たちも一緒連れて行ってくれない?」

「....はい?」


 あれ?今何て言った?私たちも一緒に行きたいって言った?


「大丈夫よ、お父さんからの了承は得ているから」

「いや一緒に行くって」

「やった!サナとニーナも一緒に冒険出来るんだ」


 俺の言葉を遮ってキリが盛り上がってしまった。


「いやだから」

「私、も嬉しい」

「3人ともありがとう。やったわね、ニーナ」

「は、はい、ありがとうございます」


 またしても俺の言葉を遮って話しが進む。あれ?今3人って言った?いや別にいいんだけどさ。俺の意見無視ですか!


「はぁー、もう良いや。2人ともこれからよろしく」

「うん」

「はい、よろしくお願いします」


 もう諦めた。これから騒がしくなりそうだな。色々な意味で。


 ______________


「てことで作物を劣化させていた魔獣は倒したから依頼達成だと思うけど、魔獣の死体確認する?」

「いや、臭いから遠慮しておくよ」


 俺は今、王様(かみさま)のところに来て報告をしている。もちろん王様によって時間は止められている。

 キリたちは甘味で休んでいる。キリたちに一緒に行かないか?っと聞いてはみたが、全員が黙り込んでしまった。仕方がないのでいつも通り1人旅である。王様には行く前にゲートで手紙を渡しておいたので、俺がこっちへ来た時には既に時間が止められていたので緊張することはなかった。

 ていうか、臭いからって魔獣について知っていたのなら教えてくれよ。酷い目にあったんだからな、色々と。


「それにしても旅先で2人も女の子を連れて来るなんて、アズマくんもやるねぇー」

「怒るぞ?」

「はっはっはっ!ごめん、ごめん。冗談だからさ」

「全く」


 言ってくることが中年のおじさんみたいで面倒である。


「さてこれから報酬を渡したいけど流石に時を止めたままという訳にもいかないから、悪いけどちゃんと門を潜ってからもう一度ここへ来てくれるかい?話しは通しておくからさ」

「ああ、分かった」


 俺はゲートを王城へ行くための道の途中に開いてそれを潜る。そして5分ほど時間を潰してから王城へと歩いて行く。


「今回の討伐、誠に感謝する。我が国との同盟国を救ってくれたことに対する報を授ける。あれを」


 王様が玉座に座りながら促すと、彼の後ろで何かを持ったまま立っていた男性。この間甘味まで俺とキリを迎えに来た時の執事さんが俺の方へと歩いてくる。

 執事さんが俺の前で止まる。それを受け取るために立ち上がったが、周りにいる何人かが眉を顰める。

 どうやらこの行動はミスのようだ。


「これは私とアルタイルの国王から感謝の気持ちだ。受け取ってくれたまえ」


 王様がそう言うと執事さんが持っていたトレーの上にあったソフトボールくらいに膨らんだ革袋を渡してくる。


「重っ⁉︎」


 ドンッジャリ

 それをなんの気なしに受け取ったが、あまりの重さに思わず革袋を床に落としてしまった。


「申し訳ございませんっ」

「ああ、いえ。大丈夫ですので。私が落としたのが悪いだけですから」


 執事さんが謝りながら拾おうとするのを止める。そしてしゃがんで皮袋を持ち上げるが相変わらず重たい。


「白金貨で100枚入ってる」

「ひゃっ⁉︎」


 白金貨で100枚って、白金貨1枚で10万だからX(かける)100で...1000万⁉︎


「こんなにもらう訳には......」

「気にすることはない。今回の討伐はそれ以上の利益となる。旅の資金などに使うと思ってくれればそれで良い」

「はぁ」


 周りからの痛い視線に耐えきれず受け取ってしまった。


「そしてこれは、君が望んでいた物だ。受け取ってくれ」

「どうぞ」

「はぁ」


 そう言って渡されたのは1枚の紙だった。その紙の上に“権利証”と書いてあるので、多分この間王様と話した時のやつだろう。


「受け取ってくれるのなら、そこに君の名を記名してくれ。それでそれは君の物だ」

「えっと、分かりました」


 執事さんにペンを渡されたので、名前の欄に名前をこっちの字で記名した。

 16歳で家を持つハメになろうとは。いやまあ、買う気ではあったけど、まさかもらえるとは。


「それでは、こちらを」

「どうも」


 執事さんから権利証を受け取ると彼は先ほどの位置へと下がっていった。

 パチンッ

 すると、突然指を鳴らす音が聞こえた。もしかしてと周りを見回すとそこにいた家臣の人たちなどの動きが止まっている。やっぱり......


「さて、アズマくん。君にはもう一つ用件があるんだよ」

「はぁ、今度は何?」

「そんな顔をしないでくれよ。それよりゲートリングを渡してくれないかい?」

「...はい」

「...と、ありがとう」


 嫌がらせくらいにと指輪を投げて渡したのだが、神様は玉座から動かないどころか視線も動かさずにキャッチする。


「何するつもり?」

「なに、毎回君に手紙を書いてもらうのも面倒だと思ってね。主に読む私がね」


 この神様は本当に本音を隠さずに言う。と呆れていると、神様の手が光出していた。


「何をやっているんだ?」

「機能を増やしているんだよ。...はい、これで終わりだ。それ」

「...っと。何を増やしたんだ?」

「着けてみれば分かるさ」


 俺は言われた通り指に指輪を通す。


『どうだい?聞こえるかい?』

「⁉︎」


 何だ?今頭の中から神様の声が聞こえたような。


「はははっ、驚いたかい?」

「今のは?」

「念じるだけで相手と頭の中で会話が出来るようにしたんだよ。どんなに離れていても話すことが出来て便利だよ?そうだなー、名前は...『念話』とでも言おうかな」

「便利だけど念話って使い魔とやるやつじゃないのか?」

「その辺はまー、気にしないで」

「あー、はいはい」


 もう相手をするのを諦めた。


「ではもう一度やるよ?」

「ああ」

『聞こえるかい?』

『ああ、聞こえる』


 結構簡単だな。頭で話すってイメージより心で独り言を言う感じだ。


「ありがとよ」

「どういたしまして。さて、そろそろ解除するからスタンバイよろしくね?」

「ああ、色々ありがとうな」


 撮影みたいなことを言う。

 そう思っていると再び指の鳴る音が聞こえる。



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― 新着の感想 ―
[一言] もー無茶苦茶でしょ。幼稚園児の落書きレベル(笑)
2019/11/28 18:02 退会済み
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