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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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暗闇の移動、そして知らない軍団

 

 電車の中で発進した際にグッと身体が押される感覚。

 それ数十秒ほど暗闇の中、味わっていると今度はエレベーターが上へ向かっている時のような感覚の後に視界が開けた。

 真っ暗な所から日の光が当たる所に出たので、一瞬目が眩む。


「到着致しました」

「......っ⁉︎」


 次第に視界が整うと、そこには復興中であったはずの村は昨日見た時よりも壊れている。


「一体何が.....?」

「おいっ!そこの女!」


 目の前の景色に唖然としていると横から声が上がる。

 そちらに視線を向けると四十代後半くらいのかなり太ったおっさんと二十前半くらいの双子の男、それぞれが武器を携えて立っていた。

 おっさんの方は百六十ほどで小型の木槌を二本、腰に下げている。

 逆に二人の男たちはどちらも百八十越えで片方は双剣、もう片方は大剣を背負っている。

 そんな彼らの視線はドライアドに向けられている。やや下に。


「見かけない顔だが、他所者か?」


 おっさんがそう尋ねてくる。

 それに頷くと、彼らは表情を一変し激昂する。


「他所者ならまずは隊長に挨拶しないか!」


 そう叫ぶ。


「?前に来た時はそんなことは言われなかったぞ?それになんで以前よりも壊れているんだ?来たの昨日だぞ」

「貴様は黙って作業場へ向かへ!」


 俺が疑問を投げるとおっさんはさらに激昂し、背後に控えていた双子が前に出て俺に武器を突きつける。


「....説明しろ。一体何があった?」

「この、黙ってろ!」


 そう双剣の男が憤慨しながら左の剣で突きを繰り出してきた。

 ただ前に出すだけの突き。足運びもただの踏み込みで、キレのある動きでもない。

 ユキナと立ち会って、彼女の動きを見ているから分かるが、完全に素人の動きだ。

 そんな攻撃なんて簡単に避けられる。首を少し傾けるだけで男の剣は空を突いた。

 その腕はまだ突き出したままなので、その腕に右手を手首辺りに、左手を二の腕の所へとやり足で相手のバランスを崩して屈伸と回転の勢いを使って投げ飛ばす。


「ぐはっ⁉︎」


 そうして双剣の男は地面へと叩きつけられた。


「「っ!貴様!」」


 それに触発されて二人は武器を構える。

 俺も構えを取ろうとしたが、それは不要となった。


「うわっ⁉︎なんだこれっ⁉︎」

「木の根が絡まりついてくるっ⁉︎」


 二人の足元からまるで蛇のように蠢いて伸びる根たち。

 それらが二人に絡まり着こうと這い上がってくる。

 それを引き剥がそうとするが根は柔軟で引き継げれず、かつ量が多い。剣ならともかく槌では到底無理だ。

 なので───


「お、おいっ!俺も助けろ!」

「無理吐かすな!俺も手一杯なんだよ!」


 こうなる。

 彼らは徐々に根に覆われていき、ものの一分で全身が根だらけとなった。


「うー!ううぅーっ!」

「んー!んー!」


 何か言っているようだが、根越しのため伝わらない。


「こんなことまで出来るんだな」

「はい。我々ドライアドなら全員が可能です」


 そうドライアドは嬉しそうに微笑む。


「それにしても昨日のうちに一体何があったんだ?あ、ドライアドって森のことだいたい把握してしてるそうだけど、何か知らないか?」

「.....いえ、申し訳ありませんが、こちらの様子を見ている暇がありませんでした。申し訳御座いません」

「あ、いや。忙しかったし、仕方ないかと」


 問いを間違えたようでドライアドは申し訳なさそうに顔を歪めて頭を下げられる。

 逐一、全体の様子を知っている訳ではないよな。


「とりあえず村の様子を見に行って来る」


 慌てて口実を作ってその場から離れる。


「ゲヘヘヘヘ」

「やっぱりこっちだろ、なあーーっ!」

「しっ!」

「あの女達、やっぱり俺が先にヤりたかったなー」

「俺もー」

「.....」


 しかし村の周りにいるのは昨日見た人たちとは違う人だらけなので、ステルスで隠れて様子を窺うことにした。

 すると昼間から酒やいつの間にか流行っていたトランプでババ抜きをしていた。

 やはり見かけたことのない人ばかりだな。

 ギルドからの手伝いにしては素行が悪い。それにさっきのやつが隊長って言っていたし、恐らく盗賊の類だろう。

 なら、先に隊長と呼ばれていた者の所に───


「にしても、獣人の姉妹って珍しいかったよな」

「だなー。ちょっと興味あったんだけどなー」

「狐だよな?あれ」

「あの耳と尻尾、どうなってんだろうな」

「あれも使ったら、気持ちーんだろうな」

「いやいや、ワシはやっぱりあの銀髪じゃ。堅物そうだったからな。ああいうのを堕とすのが楽しいんじゃよ」

「嫌な趣味してんなー」

「そう言うお前も姉妹を楽しみたいって言ってたじゃねぇか」

「なっ!ばっ!言うなよっ!!」

「.........」


 行こうとしたが、聞き捨てならない言葉が飛び交ったので足が止まる。

 銀髪の女に、狐の獣人の姉妹。


「おい」

「「「「「「?」」」」」」」


 気がつけばステルスのフードを下ろして扉から姿を現す。


「なんだー?脱走、いや他所者か?」


 酒を飲んでいたうちの一人がそう訊いてきた。


「その女たちがどうなったのか、教えてもらおうか」

「あん?何を偉そうに言ってやがんだぁ⁉︎」

「他所者なら、とっとと隊長に配属先聞いてこい」

「てか、まだガキだな。働けんのか?」

「最悪売られるだろ」

「こんな餓鬼、売れ───」

「黙れ」

「「「「「「っ⁉︎」」」」」」」


 話が進みそうにないため、思わず言葉に怒気がこもる。

 それに気がつかないうちに殺気も漏れてしまったようで、全員の表情が一変して強ばり、恐れを露わにする。


「あ....ああ....」

「すみません、すみませんすみませんすみませんすみません....」

「ひぃっ!.....ひぃっ!」


 恐怖にとらわれ、失神や失禁していて会話が出来そうな者が一人だけとなった。

 この中で一番体格が良く、酒を飲みながらカードをしていた男だ。銀髪の女のことをどうこう言っていたのもこいつだったな。

 そういえばゲートリング、まだハメてなかった。まあ、一人いるなら良いか。


「お前ら誰で、なんでここいて、その女たちがどうなったのか。全部話せ」

「.....は.....はい......」


 男は青ざめた表情のままポツポツと語り始めた。



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