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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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筋、そして否定

 

 青年のその態度に再びイラッとする。

 先ほどからこの青年はまどろっこしい言い方のせいで腹が立ってばかりだ。

 いや、確かに回りくどい言い回しをする者もいるが、この青年の言い回しは人を小馬鹿にする言い方なため、余計に気に障る。

 しかし、ここも堪えねばならん。


「どう、証明出来ると?」


 怒りを堪えているが、このような者に慣れているため声の調子は普段と変わらない。

 が、これ以上調子付かれても困るので少々目つきを(すぼ)めておく。


「じゃあ、させてもらうよ」


 しかし青年には特段何も利かなかった。

 そんなワシを無視して青年は説明を淡々と始める。


「まず、里の人らがメリッサを止めたこととレイオを見た時の表情のこと。これはあんたも認めた事実。じゃあ、なんでそんなことになったのか。最初に思ったのは───」

「端的に話してくれんかの?」

「.....分かった。じゃあ、簡単にするために、置いといてもらったのを引っ張って来よう。雷ってのは普通高い所などに落ちる。そして木の下などにいる人にも流れて落ちることがある」

「ああ。それを避けるために昔から木は里の中で育成しておらん。牢樹なども中にまで雷が貫通してくることもないからな」

「そう。ならどうしてあんたの両親二人にだけ落ちたんだろうな」

「ふん、そんなのたまた、ま.......いや、なら何故メリ───」

「そう。なら何故メリッサは無事だったのか?になる。いくら離れたからといっても光の速度下では微々たる距離だ。ましてやあんたの両親だけが木の近くにいたとも思えない」

「しかしそれじゃあ、どうして.....?」

「はぁ.....じゃあ、次に里の人らがレイオが戻って来た時にメリッサを止め、遠ざけた時だ。里の人らは何か知っていたんじゃないか?レイオのことを」

「そんなはずっ......いや、しかし....」

「否定し切れないだろ。確証と言える物もなければ、実際にメリッサを遠ざけた。つまり、里の人らは明確にレイオを危険視し、恐れた」

「......」

「そしてそんな彼らにも雷が落ちた。近くにいたあんたらが助かったのは、精霊様の加護が間に合ったからだ。つまりなければそこいら一帯に雷や風は狙って起きた」

「...........そんな、はずは」

「もう完全に否定出来ないだろ?明らかにレイオは、自身の能力を完全に操れていたんだ!」


 そう青年は断言した。

 その説明には、何も言い返せることは───否!


「それはない!オレはあの時、確かに見たぞ!レイオがオレらの前で能力の披露を行った時に、全く別の方向に飛ばしていたのをっ!あれは紛れもなく操れていない証拠だっ!」

「その落ちた場所は?」

「オレらの真う.....え.....」


 ずっと.....ワシらの、真上に落ちていた.....?


「そんな偶然があるのか?」

「ある訳ないだろ」

「っ⁉︎」


 思わず声に出してしまっていたようで、青年に呆れた物言いで返された。

 しかしワシはその返答に対して反応なぞ出来ず、レイオのことで驚愕と疑問で混乱していた。

 確かに青年の言う通り、今の説明だとレイオは能力を操れていたことになる。

 そして父と母(・・・)、そして里の者らを(・・・・・)殺したのも(・・・・・).....


「........」


 しかし今の説明はほとんど物的な証拠はないにしても筋は通っている。

 そして彼は宣言通り、ワシの勘違いとレイオの能力についても正している。

 それはとても素晴らしいことだ。だが───


「確かに筋は通っているな。しかし操れていたのなら、何故レイオがあの様なことをしたのか不明なままだ。ましてや実の親を殺してまで。貴様の話では、ワシの説明から要所要所を抜き取り、繕っただけの話。いくら筋が通っていようと、確実な証明にはならん」

「いや、確かに要所要所から抜き取ってはいるけど、それは俺はそのことを詳しく知らないし、あんたの話を汲んで話しかないだろ!それで確実な証明って....ましてやレイオが親とかを殺した理由なんて分かるはずないだろ!」

「ああ、分からんじゃろうな。オレとて、分からん」

「はい?」


 青年があっけらかんとした表情を浮かべる。


「確かに貴様の話通りならレイオの能力のこともメリッサとレイオに対する里の者らの行動の理由も理解出来よう。しかしオレの記憶だけがこうならば、貴様の否定はいくらでも受け入れた。ワシとて歳じゃ、記憶の齟齬など起きよう!だが、あの災いの日を乗り越えた者ら全員が、ほぼ同じ憶えをしていた以上、その供述があろうとも覆すことの出来ぬ事実だったのだ!」


 そうワシは声を荒げて、怒鳴るように叫んだ。

 否定されることのない、事実を。






奴隷......

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