表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
169/516

報告、そして小さな失敗

 

 しかしいつまでも怒りを露わにし、ましてや民たちの前でもこの状態ではいらぬ心配を生む。

 そのため必死に怒りを抑える。

 そしてそれはまるでタイミングを合わせたかのように、しかし最悪のタイミングで訪れた。


「長様。忌み子が、料理が出来たので青年の所へ連れて行って欲しい、と申しております」


 ガッ、とあまり響かない音が部屋に木霊(こだま)する。

 彼が造った椅子は土製で、座れればいいと思い簡素な造りだ。

 しかし簡素とはいえ土製。多少の強度は保証出来る。

 そんな椅子の肘置きから音が鳴るほどの力で握られた。

 だが別に彼の身体が筋肉隆々という訳でも、能力が攻撃系や身体能力の向上系でもない。

 それは怒りによって、彼の握力が一時的に上がっていたのだ。

 しかし残念ながらこれは彼の純粋な握力によってではなく、あの女が長の家を襲撃した際に彼の家に置かれていた水甕(みずがめ)が斬られ、中身が巻き散らかされたのだ。

 その時の水が地面に吸われ、まだ表面に残っていた状態の時に椅子とされたため柔らかくなってしまったのだ。

 それがたまたま彼の造った椅子のちょうど肘当ての部分に回ったのだ。

 いつのも彼ならばそのことにも気がつき、排除するのだが、今回はそんな気すら起こらなかったのである。

 そのため肘当ては崩れやすくなっていたのだが、長に報告に来た者はそんなこと知る由もないため、

 その音を聴いてしまった警備隊の一人は、唯一残っていた木の壁の向こう側で畏怖していた。

 しかし長からしたらそんなことはどうでも良かった。

 今、彼の頭の中はユキナに対する憎悪だけである。

 ワシは重い身体をゆっくりと動かし、立ち上がる。

 外に出れば警備隊の隊員、フォンエが緊張で強張った顔に、冷や汗をびっしりと浮かべている。


「場所は?」

「....っ!はっ!調理場にて待機させております!」


 そんな彼を放ってワシは歩き出す。

 ふむ、調理場か。毒は事前に仕込んでおくためにも、一度離れさせたい。

 .....しかし完成まで時間がかかり過ぎではないか?あれからどれくらい経っていると思っている。


「見張りはどうなっている?」

「はっ!特に不審な行動はなかった、との事です!」

「うーむ....あれからずっと調理場に(こも)っていたのか?」

「いえ、最初の数十分ほどは篭っていましたが、その後青年の牢へと向かい、治癒核による治療と包葉(ほうよう)を新しいのに取り替えるなどをしていました。その際、水儒核と風筒核を使用しました。それを終えたのが半刻(いちじかん)ほど前です」

「ほお、よく包葉を与えたな」


 忌み子の見張りか牢樹の見張りなら拒否すると思うのだが。


「はっ!実は見張りの者は拒んでいたのですがなかなか引き下がらず、困っていた所にアーツェ団長がいらっしゃり渡すようにと言われたため、取りに行かせました」

「なるほど。しかしアーツェがそんなことを....」


 彼奴も忌み子を嫌っていたはずだが、気でも狂ったか?....いや彼に限ってそんなことはないか。

 となると理由があるのだろうが、ワシでは思い当らんな。

 後で訊くとしよう。


「御苦労じゃった。御主はそのままアーツェと薬師を調理場に来るように伝えよ」

「はっ!」


 ワシが命令するとフォンエは一礼してから、薬師のいるであろう診療所の方へと駆けて行く。

 それを横目で確認してから、ワシは一足先に調理場へと向かう。

 しかし彼が調理場まであと少しの所で、薬師に毒を持ってくるようと伝えてもらうのを忘れていたことを思い出し、別の者を遣わせたのは内緒である。



もっと早く書かないと....頑張ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ