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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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人質、そして初老

 

 三人は焦りながらも誰から言い出すでもなく撤退を決意した。

 幸いなことに背後から人の気配は感じられない。

 ならば一度撤退し、準備を整えてから戻って来るのが得策である。

 東のようにすぐに戻ることは出来ないが、それでも三人が全力で走れば数日で王都かエネリアに着くことが出来る。

 なのでこの行動は正解なのである。

 そう普通なら。

 しかし今回は場所が悪かった。彼らと村では道端で会っていれば彼女らは撤退か撃退を決行することが出来ただろう。

 ではなぜここではダメなのか。それは──


「「「───っ⁉︎」」」


 彼女らがいざ撤退しようとした時だった。村から数人の老人や女が縄で拘束されて出てきた。

 それを見た彼女らは息を呑んだ。

 縄で拘束されている人の中に殴られた痕や切られた痕のある人が数人いる。

 それも老人に多い。

 そしてその中には、あの少女の姿もあった。


「モアちゃん....」


 ニーナが枯れそうなほど小さな声で少女の名を漏らした。

 これは明らかに人質である。

 こうなってしまっては彼女らの行動可能範囲がかなり軽減してしまった。

 まず無闇に武力行使が難しくされた。

 彼女らの実力はかなりのものだが、それでも数の差が酷かった。キリたち三人に対して相手はざっと五十人はいるだろう。

 そのため下手に武力でいけば人質の安否が問われてしまう。

 ならば一度撤退してギルドに要請し、こちらも人数を増やして来るという手もある。

 しかしこれも人質の安否が問われる作戦だ。

 どちらも下手に動いて相手を刺激してしまっては、結局の所人質が危うい。

 ならばどうすれば良いのか。それを考える時間があれば良いのだが、残念ながらそんな猶予をくれるほど優しい相手ではないだろう。

 彼らはもう既に、三人が隠れている木から三、四メートルほどしか離れていない所まできているのだ。

 三人が相手の様子を窺っていると男たちの群れの中から初老風の男が歩み出てきた。

 周りの男たちは十代後半が大半だが中には中年男性の姿も数人ある。

 その中で一人だけ周りと年齢が離れているため浮いているはずなのだが、その姿勢は見た目ほどの歳を感じさせない。

 それでもこの中に初老の男がいるのは少々異質である。

 それに周りは武器を持っているが彼は丸腰。剣すら携えていない。

 しかしそれが逆に不気味にも思えてしまう。

 三人がその男と周りを警戒していると、初老の男は厳かに口を開いた。


「諦めて着いてきて下さいますね?」


 彼のその言葉に彼女らは従うしかなかった。彼らの背後に人質がいるのだから、断れるはずもない。

 しかし彼にはまるで三人(わたしたち)が従うしかないと分かっているような言い方だと、ニーナは思った。

 まさかここで私たちがモアちゃんと出会うことを知っていた?....そんな訳ないか。

 そう自分の中で出た仮説を振り払う。


「「「....」」」


 三人は目配せしてから渋々頷く。

 それを確認した初老は周りの男たちを連れて去り始めた。

 しかし周りの男たちをうちの数人がキリたちの背後や横に囲むように着いた。

 多分逃がさないためだろう。しかしこんな状況で逃げる訳がない。

 そのまま三人は人質たちとは別にどこかへ向かう彼らの背後を着いて行く。



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