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新しい武器、そしてグルメ会

 

 ダンジョンを攻略して甘味に戻った翌日、今俺は武器屋オニテツへ来ている。この間古竜との戦いで折れてしまった俺の新しい剣を買いに来たのだ。


「てな訳で、新しい剣を買いに来たのだけどここって武器を精錬してくれるみたいだけど、それって魔獣の素材でも出来る?」

「ああ、出来るぜ。まー、物によって値が変わるがな」

「じゃあ、これで武器を作ったらいくらくらいになりそう?」


 そう言って宝物庫から後にバラしておいた古竜の1本の長さ30センチくらいの牙を取り出しておっさんの前に出す。


「⁉︎小僧!こ、これってま、まさか...竜の牙か⁈」

「あ、ああ。そうだけど」

「小僧、これをどこで見つけた⁈」

「どこってダンジョンの最下層のボスが古竜で俺たちが倒したからとりあえず俺が持ってるだけ」

「た、倒した⁈小僧!お前まだギルドランク最初の色だったよな⁈」

「そうだけど」

「あり得ない。この間までレベル10くらいでゴブリンがやっとだったのに。お前今一体レベルいくつだ?」


 結構失礼なこと言いますねー。まあ分かるけど。頭の中でステータスと念じる。


 ___________

 ステータス

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 名前:桐崎東

 ステータス番号:57764

 性別:男

 Lv.80

 攻撃:845

 防御:1150

 体力:6850/6850

 魔力:3100/3150


「固有能力」

 魔眼Lv.6

 能力:対象の資質や素材がLvに応じて分かる範囲が広がる

 対象のLvと特殊が分かる


 千里眼Lv.1

 能力:眼で遠くの景色を見ることができる

 Lv.1:100メートルまで調整可能


 言語解析

 能力:本人の半径100メートル圏内のありとあらゆる言葉が本人の語で統一される

 相手には違和感なし


 言語読解

 能力:ありとあらゆる言葉が本人の語で読める


 ドレイン

 能力:対象に触れている間体力と魔力を吸収、放出

 Lvに比例して吸収の限度が変化

 放出は分け与えるだけ


 ウォーミル

 能力:対象に触れ水の温度変化

 一度触れれば離れても操作可能


 _________________


「えーと、レベル80だね」

「80⁉︎は!え?は!つい数日前まで10だったやつが今では俺よりも上って、どんなダンジョンだよ」

「ちゃんとした順で進んで行ったらここまで来れた」

「小僧、そのレベルはあまり言いふらさんとけよ?」

「言いふらす気は元々ないけど」


 自慢はそんなに好きじゃないし。


「それと何だが、この竜の素材とかまだあるか?」

「脳以外はまるまる1体あるけど?あ、尻尾もないや」

「ほ、本当か⁈た、頼む!残りのやつ全部を俺に売ってくれ!」

「え⁈」


 おお、筋肉ムキムキのおっさんがガチ頼みはちょっと怖いと言うかきもいと言うか。じゃなくて!


「そんなに欲しい物なの?」

「ああ、竜を倒せる者はほぼいなくてな。多分王国騎士団全員で挑んで多大な犠牲が出ながらようやく倒せる相手だからな。滅多に手に入る代物じゃあないんだ」


 へー、竜って本当に強いんだ。


「だから頼む!俺が出せる分だけだが言い値で買う。だから頼む!」


 出せる分だけの言い値ってこれは言い値なのだろうか?言い値って言われてもこっちの世界のお金の単位がよく分かっていないしな。


「どれくらい出せそう?」

「白金貨1、2枚なら何とか」

「白金貨ってどれくらい?」

「え?えーと、白金貨1枚で金貨だと10枚分小金貨だと100枚分銀貨だと1000枚分小銀貨だと1万枚銅貨だと10万枚。物価で言うなら安い家が数件くらい買えるくらいだ」


 また「え⁉︎分からないの?」って顔された。うーん、これは俺とキリで倒したやつだから俺1人で決める訳にはいかないし。一旦キリに聞いてみるか。


「えっと、倒した竜は俺と仲間で倒したからそいつに聞いてみてからで」

「ああ、それで構わない」


 そう言い店を後にした。


 ______________


「良いってさ」

「おお、ありがたい!それで、竜の遺体はどこに?」

「ここじゃ出せないからどこか広いところない?」

「この街を出たところに馬車が通るための道とまあまあ広い草原があるからそれで大丈夫か?」

「ああ、じゃあそこで」


 んでその草原を目指してだいたい20分くらい歩いてまあまあ、だいたい学校のグラウンドくらいの草原、その奥からは森が続いている。宝物庫から古竜の死体を取り出して地面に置く。


「これはかなりでかいなぁ」

「でもこんなに大きいのどこに置く気なんだ?」

「大丈夫だ。肉は上等でかなり美味い。この大きさならだいたいの店に売れば金貨5枚以上はいけるし、皮とかもかなり良い値が付く。牙や爪は武器の素材として使われる。だから小僧に渡す分くらいの金がこれにはある」


 へー。まーそんなに金に執着心はないし良いか。


「分かった。これはおっさんがさっき言っていた値で渡すから。なるべく早く俺の武器を作ってくれないか?」

「ああ、もちろんだ。この竜の礼としてその武器はタダで作ってやる」

「おお!ありがとう」

「礼を言うのはこっちだ。ありがとう」


 翌日、剣と一緒におっさんから竜の代金をもらった。

 剣は牙が白色だったので白の剣になった。それでおっさんに無理言って五輪儒核の小さい破片を1つずつ刀身の柄の近くに付けてもらった。


______________


 新しい剣を作ってもらってから数日、今日は朝から店が騒がしかった。カナさんに聞こうとしたがすでにいなかった。キリを連れて店の外に出るとこの間の草原の方に人が向かって行ったので後を追う。

 草原には何人も街の人たちが何かをしていた。その奥から良い匂いがたくさんして来た。あれ?良い匂いがするってことは...横を見ると思った通りもうそこにはキリの姿はなかった。

 何人もいる街人をかき分けて前に出てみるとたくさんの厨房に老若男女問わず料理を作っている。さらに厨房の奥の方に少し高そうな感じのテーブルと椅子、そしてその椅子に黒色のなんか色々キラキラした物が付いた豪奢な服を来た50代前半くらいの老婆が座っている。

 厨房の両横には長細いテーブルがいくつも並んでいてその上にいくつもの料理が並んでいる。そして数人の老若男女がいる中ですごい速さで次々と料理を食べているキリがいた。食い過ぎるなよ。

 お、カナさん発見。何か作っているけどとりあえずこの騒ぎについては聞きたい。

 カナさんに近付く。


「カナさん」

「あらアズマくん、どうかした?」

「この騒ぎって何なの?」

「えっとね、この騒ぎはグルメ会って言ってあそこに座っている女性、ミルフィー クラレントさんって言ってね。彼女は色々な国の街へ出向いて、彼女が気に入った料理を提供することが出来たら報酬として白金貨10枚がもらえるの。で、みんなは報酬目当てにここで料理を作って提供しているんだけど、なかなか気に入られなくてみんな困っているの」

「カナさんも報酬が欲しいから参加しているの?」

「それもあるけど、私は店の宣伝として参加しているって感じかな。参加は自由だからアズマくんも参加してみたら?料理の食材はこの街の店から彼女が全部買ってあそこに置いてあるけど、あーもうほとんどないわね」

「うーん、なら参加してみようかな」


 一様キリにも聞いてみたら出来たら食べさせてと言われた。

 キリと別れて食材を取りに行く。食材はほとんど残っておらず魚や肉、野菜とまちまちでしか余っていない。

 これは海老かな?あとアサリやホタテ、米、他にも何かそれっぽい物がある。これならパエリアが作れそうだな。母が病気になってから色々と料理を作っていたから多少は出来る。

 食材を持って空いている厨房に食材を置く。周りを見ると包丁やフライパンのような器具はあるがコンロはない。他の人たちを見ると木をこすって火を起こして鍋やフライパンをその上に置いて料理している。まー俺は火炎核があるからそれを使って木を燃やせば良いから楽だ。宝物庫から火炎核を使って木を燃やした。


「さて、作りますか。なんか周りがうるさいけど」

「ボウズ!黒焦げにだけは気をつけろよ!」


 厨房に立った俺にどこからか知らないおっさんの声が聞こえその言葉に街の人が笑い出す。はは、絶対失敗しないようにしよう。


 ______________


「はん、ふん、ふん、ふん、まあまあですわね」

「ううぅ、ありがとうございました」


 どこかの主婦が作った料理を食べ評価された料理は厨房の両横のテーブルに置かれた。そして次はカナさんの番だ。


「はん、ふん、ふん、ふん、これはなかなか」

「本当ですか⁈」


 カナさんがすごい笑顔になり周りからおおーと言う声が上がった。


「これは候補確定だな」

「よっ!流石甘味のカナちゃん!」


 またしてもどこからかカナさんを褒めるおっさんの声が聞こえた。

 さて、次は俺の番か。


「おーいボウズ!変な物食べさせんなよー!」


 さっき俺に黒焦げ注意と言った人と同じ声が聞こえた。そしてまたしても笑いが生まれた。俺は気にせず料理をミルフィーさんの前のテーブルに乗せる。


「どうぞ」

「これは...見たことのない料理ですね。この料理の名は何と?」

「パエリアです」

「パエリア...どれ、はん、ふん、ふん、ふん⁉︎はん、んん、んん、んん、はん、はん、んん、んん」


 パエリアを食べて少しして目が見開いたかと思うと木のスプーンで次々とパエリアを口へと運んでいく。さっきまで笑っていた街の人たちもパエリアを黙々と食べているミルフィーさんを見て唖然としている。


「ゴクンッ!...素晴らしい料理でした。(わたくし)はこの料理が気に入りました。良ければこの料理をもう一度作ってはくれませんか?」

「「「「「「えええぇぇぇ⁉︎」」」」」」


 ミルフィーさんの言葉に唖然としていた街の人たちが大声で叫び出した。


「作るのは構わないけど、食材がもう...それに食べさせたい人がいたんだけど、まさか全部食べられるとは」

「貴様!折角のミルフィー様の頼みを断るのか⁉︎」

「お辞めなさい!」


 俺に向かって剣を抜こうとした護衛の人たちをミルフィーさんが一言でそれを止めた。この人何なの一体?


「ご無礼をお許しを。また先ほどの料理を全て食べてしまったご無礼もお許しを」

「あ、いや、別にそんなつもりで言った訳じゃ」

「しかし私よりも食べさせたいお相手とは?」

「ああ、あそこでみんなが作った料理を食べまくってる」

「...そう、あの彼女はあなたの恋人ですか?」

「いや、冒険中に出会った仲間です」


 あれ?なんかキリがこっちを見て睨んでるな。そんなに食べたかったのかな?


「そうですか。料理の無礼の許しとして私が食材を提供させていただくのはいかかでしょうか?それと彼女に料理を振るまった後でも良いので私にもいただけないでしょうか?」

「それなら別に」


 この人優しいな。


「それとあなたには私の家で料理長として雇いたいのですが?」

「「「「「「えええぇぇぇ⁉︎」」」」」」

「あー、それは無理かな」

「「「「「「えええぇぇぇ⁉︎」」」」」」


 ミルフィーさんの言葉に驚きの声を上げた街の人たちが俺の返しに再び驚きの声を上げる。うるさい。


「そうですか。では仕方がないですね」

「すいません」


 こんな感じで話が終わり、ミルフィーさんが食材を馬車からいくつも取り揃えてくれた。どうやらその馬車には時間がゆっくりになる力が備わっているらしく食材を色々な街から買った食材を入れているとのことだ。グルメ会が終わるまで俺はずっと料理を作っていた。パエリアやナポリタン、カルパッチョ、刺身など色々作った。キリも喜んではいたが俺が話かけると何故か怒った感じで返された。何で?

 終わりくらいにミルフィーさんから報酬と次会った時にまた料理を作ってくれと頼まれた。



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