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ダンジョン 隠し部屋の転移机、そしてただいま

 

 目に力を入れる感じで魔眼を発動させる。


 ______________

 古竜:死

 ______________


 魔眼で古竜が死んでいるかを確認してから宝物庫にまるごと入れる。そして俺とキリはまるで糸が切れたようにその分に仰向けで倒れる。


「つ、疲れたー」

「はあ、はあ、お疲れ様。東」

「ふっ、ああ、お疲れ様。キリ」


 キリも疲れているだろうに四つん這いで少しずつ俺のところへと来て手を俺の顔の上まで持ってくる。それに俺は少し笑って腕を何とか持ち上げキリの手とハイタッチをした。


「...キ、うっ⁉︎」


 ハイタッチをしてすぐにキリが倒れた。そのままキリの身体が仰向けで寝転んでいた俺の上にまるでプロレスの決め技でも決めるような攻撃をされた。そのままキリは俺の上に乗ったまま動かない。


「キ、キリ⁈おいっ!キリ⁉︎」

「スゥゥ、スゥゥ、スゥゥ」


 良かった眠っただけか。焦ったー。死んだかと思ったぞ。


「(うっ、やばい。俺も眠く...なって...)」


 俺の意識は完全に闇へと落ちていった。


 ______________


 暗闇の中から次第に意識がはっきりとし瞼を開いて目を覚ます。周りはクリスタルで照らされていたので魔眼が閉じられていてもほとんど見える。そしてキリはまだ俺の上で寝息をたてていた。可愛いな。右手は...大丈夫だ動かせるしほとんどキリを起こさずに済むくらいは動かせる。要するに右腕だけは動かせるし体力や魔力が少しは戻っているということだ。宝物庫も右の腰の方にぶら下げている。

 宝物庫から治癒核を取り出してキリの傷を癒し、俺の傷を癒し終えて治癒核を宝物庫に入れる。(してしてして)


「んん、んん...」

「お、ほらキリ起きろ。そろそろご飯にするぞ」

「んん...ご飯、食べる」

「なら退いてくれ。ご飯が用意出来ない」

「うん、退く....ふぇ⁉︎」

「?ふぇ?」


 キリが目覚めかけたのでご飯を餌に起こして退いてもらおうとしたのが、キリが目を覚まし瞬きを数回したところで変な声とともにバッと勢い良く起き上がる。そしてみるみるキリの顔が赤くなっていく。


「......」

「キリ?」

「東の....」

「え?」


 喋り出したかと思ったらキリが顔を上げた。その顔は真っ赤になりながら涙目になっていた。


「東のバカァァァァッ!」

「ぐふっ⁉︎」


 パチィンッ!

 涙目のキリがそう叫びながら手のひらで俺の右の頬をぶった。

 え!何で⁉︎


「ちょっ!キリ落ち着いて!」

「こんな...こんなことするなんてぇっ!」

「うわぁぁぁぁ!待て待て!ぐふっ⁉︎」


 パチィンッ!

 俺の言葉何て聞かず、今度は左の頬をぶたれた。

 いってぇ!


「ちょっ!キリ!何で怒ってるの⁈」

「んん...信頼していたのに!東のこと信頼していたのに!それを!...わ、私が眠っている間に無防備な私を...」

「なっ⁉︎そんなことしてないって!」

「嘘!そんなの私を騙すための嘘に」


 グウゥゥゥゥゥゥギュルギュルギュル!

 腹の虫が大きく鳴りボス部屋に響いた。ちなみに腹の虫が鳴ったのは俺ではなくキリの方だ。キリの顔がさっきよりもさらに赤く染まっていく。

 あれデジャヴかな?


「えっと、先にご飯にしようぜ。説明も兼ねて、な?」

「.....コクンッ」


 キリは小さく頷いて俺から少し離れた横の方に座った。いつもはお代わりをねだるため俺のすぐ隣か対面のところに座っているのだ。これはかなり怒っているな。

 古竜の肉は...まだ焼いていないんだよな。ウォーミルを操作することが出来たから必ず倒せる脳だけを焼いただけだから他はまだそのままなのだ。

 しかしキリの機嫌を直すには古竜の肉をあげた方が良いのだろうけど。うーん、良しあげるか。

 そう思い宝物庫から古竜の死体を地面に取り出した。

 ドォンッ!


「え?東、何する気なの?」

「何って食べるんだよこいつを」

「え⁉︎でも竜よ竜!その身体全てが無駄なく使うことが出来てしかもとっても貴重な物。売れば金貨5枚以上はするわよ?それを食べるなんて」

「俺は金なんかよりキリと喧嘩している方が嫌だ。だから気にするな」

「....うん!じゃあお言葉に甘えて尻尾の肉を全部ね」

「ああ、良いよ」


 相変わらずよく食べるなー。小刀で古竜の尻尾を根元から切り落とす。だいたい1メートルくらいの長さ、だいたい5kgくらいはあると思うけど...


「えっと本当に尻尾全部食べれるのか?」

「大丈夫よ。あ、ちゃんと東も食べてよね?」

「え?良いのか?」

「当然よ。それに話も聞かせてもらわないと」

「ああ、じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」

「うん」


 古竜の胴体は宝物庫に入れて尻尾にウォーミルを使って隅から隅まで焼く。

 そしてその肉の10分の9をキリに残りを俺が食べることにした。あと宝物庫からソウチュウバナの花と水儒核の破片を2つ取り出して俺とキリに1つずつ持つ。

 そして古竜を倒し、ハイタッチをしたらキリが突然倒れたことを伝えた。


「ごめんなさい!東!私勘違いして」

「大丈夫だよ」

「でも私2回も東の頬を叩いたし!」

「痛みは治癒核の効果で引くから大丈夫だよ。だから気にしないでよ」

「でもっ!」

「うーん。...あ!じゃあ今度俺と買い物に付き合ってくれ。それなら良いか?」

「それで東が許してくれるなら」


 ______________


「さ、体力も回復したし次の階へ行くか!」

「ええ」


 そう思い壁を見回す。しかしどこを探してもいつも見る壁に穴が空いているがないのだ。もしかして隠し部屋で続いているのかも。

 目に力を入れる感じで魔眼を発動させてもう一度周りの壁を見回す。


 ___________

 石壁:硬い

 特殊:石


 石壁:硬い

 特殊:石


 石壁:硬い

 特殊:石


 .....


 見せかけの壁:発動中

 特殊:幻覚を見せる術。触ると術が解ける


 ______________


 ⁉︎これか。


「キリあったぞ。古竜が最初に寝ていた後ろの壁に幻覚の術がかかっている」

「うん。行こう?東」

「もちろん」


 俺とキリは魔眼で表示された見せかけの壁を目指す。


「危ないかもしれないし、キリは下がっておいたら?」

「大丈夫。私は東と一緒にいるから」

「分かった。じゃあ触るぞ?」

「うん」


 そう言いキリは剣の柄に手をかけた。俺も意を決して壁に触る。すると俺たちの視界から目の前の石壁が消えて代わりに小さな洞窟、いや部屋が広がっていた。

 俺たちは辺り警戒しながら中へ入る。罠があれば俺の魔眼で見つけることが出来るから、魔獣を主に警戒する。


「何なんだ?この部屋は」

「安全地帯とか?」


 魔眼の力を弱める。

 部屋の中は机とその上に古びた紙のような物があるだけで他には何もない。机も学校などで見るような感じで全て木で出来ている。椅子はない。

 俺は紙を取ってキリと一緒に見る。


「えーと、『古の塔攻略。机に魔力を流せば外へ転移される』か。これ本当かな?なあ、キリどう思う?」

「....」

「キリ?」


 紙を読み終えてキリへ質問をするが返事がないのでキリの方へと視線を移す。するとキリが目を見開いて何かに驚いている。


「東、これ読めたの⁈」

「ああ、ちゃんと書いてある通りに読んだつもりだけど、どこか間違ってたか?」

「いや、私は読めないから分からないけど」

「?読めないって何で?」

「だってこれ、私は何て書いてあるか分からないし」


 マジか!まー実際俺もこっちの世界の言葉普通は読めないし、喋れない。神様からもらった言語読解と言語理解のおかげなんだよな。


「と、とりあえず書いてある通りにやってみよう。もしかしたら本当かもしれないし」

「でも違うところへ飛ばす罠とかだったら」

「あー、それもそうだな。魔眼で何とかならないかな?」


 目に力を入れる感じで魔眼を発動させる。


 ______________

 転移机:設置

 特殊:魔力を流した者を決められたところへ転移させる

 行き先:古の塔40階→古の塔入り口

 ______________


 おお、分かりやすく表示された。魔眼で表示されたことをそのままキリに教える。


「東はどうする?」

「とりあえず書いてあることを信じてみるよ」

「本当に大丈夫なの?この机」


 俺は机の真ん中くらいに手を乗せる。


「ま、大丈夫かどうかはやってみれば良い」


 そう言い終わると机を自分の身体の一部と思いながら机に力を送る。すると机が光出したかと思うと次に俺の身体が薄っすらな光で光出した。そして光が徐々に強くなってきて目を開けていられないくらいまで光出した。もちろん目を閉じた。

 身体に爽やかな風が俺の身体に当たったので目を開けてみると俺の目の前にはダンジョンの20階への入り口、騎士団たちが最初に入ったと思われる入り口の前に俺は立っていた。


「本当に転移されたんだ」


 辺りをキョロキョロしていた俺の横から激しい光が発した。光が止んだので横を見るとキリが目を閉じて立っていた。


「キリ」

「んん、東。ここは...ダンジョンの外?」

「ああ、紙に書いてあったことは本当だったみたいだな」

「そうだね」


 俺たちは何となくダンジョンを見ていた。あー、そう言えば気になってたことがあったな。


「なあ、キリ」

「何?」

「キリってこの後どうするんだ?俺はこの下にある街へ戻るけど」

「それって私も一緒に行っても良い?」

「え?別に良いと思うけど、キリはそれで良いのか?」

「うん、私は剣の修行で旅に出ているだけだから東と一緒に行動したい」

「分かった。じゃあこれからよろしくな?キリ」

「うん!よろしくね。東」


 俺らそう言い終えると街を目指して歩き出す。こっちであってるよね?


 ______________


 店の前に着きドアを開ける。

 カランカラン

 扉に付いていた鐘が音を立てる。


「いらしゃ⁉︎アズマくん!」

「ただいま、カナさん」


 ここ甘味屋の亭主の娘カナさんが俺の姿を見て驚いて受付台から出て来て俺へと駆け寄って来る。


「すいません、宿とってるのに何日も留守にして」

「それは別に良いんだよ。アズマくんが無事だったんだから」

「俺って何日くらいいなかったんですか?」

「15日よ。一体どこへ行ってたの?」


 え⁉︎ダンジョン攻略に15日もかかったのか?てことは、甘味は1泊で銀貨1枚だから、銀貨15枚も無駄にしたのか。


「どこへって俺行く時にちゃんと言ったはずだけど?ダンジョンに行くって」

「そんなの冗談だと思ってたのよ。だって駆け出しの冒険者がいきなり誰も攻略したことのないダンジョンに行って帰って来れるはずがないからね。つい最近王国の騎士団数人が攻略したそうだけど。で、本当はどこへ行って来たの?」

「ちょっと待ってカナさん。今つい最近王国の騎士団数人が攻略したって言わなかった?」

「え?ええ。先週くらいにこの街を通ってダンジョンへ向かった王国の騎士団たちが数人だけになってふらふらになりながらもこの街へ戻ってきてこう言ったの、『我々王国騎士団が未だかつて誰にも攻略されなかったダンジョンを攻略したぞ!』って大声で騎士団長が街の真ん中で何度も叫んでいたわよ」


 何やってんだあの騎士団長は...


「その後この街で騒ぎまくって飲めや食えや騒いでの日が3日くらい続いて、騎士団の何人かが店の人にいちゃもんをつけたりってもう大変だったんだから」

「そんなにですか」


 マジで何やってんだか、あの騎士団。


「騎士団長にアズマくんのことを聞いたら知らないって言われたからね。本当に心配したんだから」

「すいません」

「それで?結局どこに行ってたんだい?」

「いやだからダンジョンですって」

「そんなはずないでしょ。騎士団の人たちでさえ6日もかかったんだから。それに服だって新品みたいだし」

「騎士団の人たちは20階までで俺たちは最下層の40階まで行ってたから遅くなって。服が新しいのはここへ来る前に買って来たから。戦闘でかなりぼろぼろになったんで」


 俺の服は白のTシャツに黒のジーパンだ。両方合わせて銀貨6枚だった。


「あ、それとカナさん。この子の宿ってとれる?」


 そう言い店の外で待たせていたキリを店の中に入れる。

 キリの服も新しく買って、と言うかただ今まで着ていた物と同じ物を特注して届くまでの間着る服がないので買ったのだが、軽装備と俺の服よりちょっと高そうな服を買った。軽装備に銀貨6枚、服が小金貨1枚と銀貨3枚だった。キリも修行の旅中なのでお金は持ってはいた。


「あら可愛い!この子どうしたんだい?」

「ダンジョンの途中で会って、そのまま一緒にダンジョンを攻略した仲間。部屋とれそう?」

「うん、大丈夫よ。ちょうどアズマくんの隣の部屋が空いているけど、そこで良いかい?」

「はい、ありがとうございます」

「どれくらいとる?」

「えーと、東はあと何日くらい泊まるの?」

「アズマくんはあと7日くらいしかないね」


 あらら...


「残り7日しかないのか...じゃあ部屋の延長で20日くらい伸ばせない?」

「大丈夫だよ」

「なら私も東と同じくらい泊まらせてください」

「了解。それじゃアズマくんは小金貨2枚でそっちの子は小金貨2枚と銀貨7枚ね」

「はい」

「どうぞ」

「はい、ちょうどね。えっと...これに名前を書いてね。アズマくんにはもう書いてもらってるから書かなくて良いわよ」


 カナさんがお金をもらうと受付台のところへ行き小さな木の板を持って来てキリに渡した。


「分かりました」


 キリもペンを受け取ってさらさら書いている。そういや俺、まだこっちの世界の字がまだ書けないな。キリに頼むのは...恥ずかしいから、図書館とかへ行きたいがあるかな?


「ではこれで」

「はい、えーと。キリ ヘルクレットちゃんね?よろしく」

「はい、よろしくお願いします」

「ところでアズマくんとキリちゃんはご飯どうする?」

「いや、食べてきたから良いや」

「え?私は食べたいけど」


 あはは、相変わらずよく食べるなー。


「分かった。じゃあ後のことはカナさんに任せるよ?」

「了解」

「後カナさん、この街に本屋か図書館はある?」

「ホンヤて言うのは分からないけど、図書館なら王都にあるわよ」

「王都ってここからどれくらいかかりそう?」

「えーと、馬車で15日くらいかかるはずよ」


 15日って...ああ、キリに教えてもらうしかないか。恥ずかしいなー。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここまで読みましたが自分はここが限界です。 1番最初はお、これは面白そうって読みましたがすぐにふーんって感じで読み進めましたが武器屋までは良かったのですがそこからがキツいかったです。 …
[一言] 主人公のアホさ加減に困惑を隠しきれなかったが、こんな被害妄想の激しいメンヘラ女によく仲間意識もてるな。ある意味凄いぞ…
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