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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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三体目、そして手無し

 

 藍色のマダルノ蛇は威嚇をしながらジリジリと迫ってくる。

 それに伴って俺は後退する。

 まだ少し痺れている腕で戦うのは無理ではないが時間がかかる。かと言ってもう一度足に『ウォーミル』を使って戦うのはかなりキツい。

 今も『ウォーミル』を使った足がじんじん痛みを走らせている。さっき使ったのは完全にミスか....

『天眼』や『ウォーミル』は代償が大きいので多用するのは危険だろう。

 コマチュリ草を探すので最後にしたい。

 となると今はひたすら避けに徹して腕の回復を待つ、かな。


「シャアァァァ....」


 マダルノ蛇はまだ威嚇を続け進んで来る。だが途中から横から回るように進み始めた。

 そこで気がついたが、その信仰方向にはさっき倒した黒のマダルノ蛇の死体がある。

 もしかして狙いはあのマダルノ蛇?偶然の可能性もあるが、もしそうなのならもしかしたらこのマダルノ蛇はあのマダルノ蛇の(つがい)か子どもの可能性がある。

 これは大きさからの判断なので外れている可能性もあるが、それでもこの二体になんらかの繋がりはあるはずだ。

 藍色のマダルノ蛇の全長は三メートルほどで顔もバレーボールくらいの大きさ。

 だが『魔眼』によって希少種ということは分かっている。なら後は警戒していれば致命傷を受けることはそうないはずだ。

 そんなことを色々考えているうちに藍色のマダルノ蛇は黒のマダルノ蛇の前まで辿り着いた。

 予想は当たったようだ。


「ン、ジシャッ!」

「っと」


 藍色のマダルノ蛇が一瞬口をグッと閉じ、そして毒弾を一発放ってきた。

 先ほどの戦いで多少の動きを覚えたので背後へ飛び退いて余裕で回避することが出来た。

 しかし今の一撃は牽制のようなものだったらしく再び威嚇を唸っている。


「?」


 その様子を見て可笑しいと感じる。

 なぜ襲って来ない?確かに自分よりも体格の大きいマダルノ蛇がやられていたとはいえさっきの戦いを観ていた訳ではないはず。

 俺はそこまで疲労はしていないが一人...いや、違うか。

 レベルの高い魔獣なら考えて動くタイプもいる。ましてやマダルノ蛇は赤ランクの討伐対処。

 今目の前にいるマダルノ蛇のレベルは四十三だが、希少種なためプラスで十くらいは跳ね上がる。

 そんなレベルの魔獣だからこそ俺に挑もうとせず威嚇と牽制という行動を選んだのも頷けるか。

 そしてそうなるとこれはありがたいことこの上ない。

 今の俺は攻撃手段がほとんどないのでこの状態が続くのならその間に腕を休めることが出来る。

 あと数分くらいで動かせるようになる。

 さて、後はここで様子を窺っていれば──


「なっ⁉︎」


 目の前のあり得ない光景に思わず驚きの声を漏らしてしまった。

 まだ薄いが『魔眼』で確かにそれを捉えた。

 藍色のマダルノ蛇の背後から希少種特有の固有能力『毒霧』が放たれているのだ。

 しかし当のマダルノ蛇から放たれている訳ではない。そんな素振りすら見せてもいないのだ。

 ではどこからか?

 答えは今述べた通り、藍色のマダルノ蛇の背後にもう一体の魔獣がいる。その魔獣もまたやつと同じ種、同じ能力の持ち主なのだから出来て当然だろう。

 しかしあの蹴りで倒しきれなかったか。

 能力で威力はかなりのものになっていたはずだったのだが....

 よっぽどあの鱗は硬いのか。

 前に剣を受け止められたから相当の力が発揮出来ると思っていたんだけど、考え過ぎだったみたいだな。

 っと、考えているほど余裕はない。

 薄いのは瀕死状態なため満足に魔力を流せていないからだろう。それが今は幸いなんだけどな。

 それでもまともに受ければ状況が変わる。皮膚が溶けずとも神経麻痺程度は起こり得る。

 そうなれば藍色の方の攻撃で俺はお陀仏だな。

 腕が回復していれば風尚核で対処出来るのだが、もしくは蹴りで風が起こせれば良かったのだが。たらればの話をしても今は意味がないか。

 ならどうするか...


「背後へ飛び退け!」

「っ!」


 急いで思案していると上空から聞き憶えのない男性の声が聞こえた。

 言われた通り背後へ飛ぶ。


「⁉︎」

「シャッ⁉︎」


 飛び退いて数秒後に線状の物が三線、さっきまで東がいた場所と藍色のマダルノ蛇との間の地面に落ちた。

 その線が当たった地面は巨大な剣を突き刺したような跡がついたかと思うとそこからヒビが伝わり、さらにそこに二線が突き刺さり地面を割った。

 地面を割ったことによって生じた砂埃と風が漂い始めていた『毒霧』を巻き込んで霧散し始める。

 そちらも気になったが一番目を離せない方へ視線を向ける。

 朱紫色のセミロングに右頬の下から上へ六センチほどの傷痕を持つ優顔の男性。

 重装でも軽装でもなく、何も防具を身に着けずロングソードのみを携えている。



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