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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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排除、そして不発?

 

 湖との距離は走ればまあまああったが『天眼』で観ていたのでゲートですぐに移動出来た。

 後はここを中心に探すだけ。感度を弱めてもう一度『天眼』を使えば見つけらるかもしれないな。


「!」


 また気配が感じ、そちらに集中する。

 量は一つなのだがその気配はかなり強い。トンドンカエルが群れをなした時でもこれくらいの強い気配は感じられない。

 まあそれだけ強い気配を放ってはいるのだが、敵意は感じられない。

 どんな魔獣か気になるのでその気配の方へ『千里眼』を向ける。


「....なっ⁉︎」


 百二十メートルほど先にだがそいつ、黒色のマダルノ蛇がいた。

 今度は『魔眼』も使いそのマダルノ蛇を見る。


 _______________

 マダルノ蛇(希少種):待機

 Lv.67

 特殊:強固な鱗。口から毒弾と毒霧を放つ。

 _______________



「しかも希少種かよ!」


 思わず嘆いてしまった。

 トンドンカエルの次はマダルノ蛇。こちらもそうだが村へ行けば崩壊する。

 そしてなんの嫌がらせなのかマダルノ蛇が向かっている先は見れば村の方だ。

 これも時間かけずに終わってくれよ。

 そう願いながら枝伝いに跳んで行き、マダルノ蛇の方へ向かう。

 そしてマダルノ蛇の背後からやや離れた所まで着くと勢いよく木を蹴って一気に近づく。


「!ジシャッ!」


 ここまで近づけばマダルノ蛇も俺の存在に気がついたようだが、その頃にはすでに勢いによってマダルノ蛇に手が届く距離まで近づいていた。

 そして手で触れさえすれば着地と同時に終わりだ。

 脳を熱してしまえば終わりだ。

 戦っていられるほど時間に余裕はない。まだ目当てのコマチュリ草を見つけていないのだから。


「さて、一回戻ってからだ──」

「ジシャアァァァッ!」

「なっ⁉︎」


 さっきまでいた湖へ戻るためにゲートを繋げようとした所で倒したはずのマダルノ蛇が怒りの怒号を上げた。


「ジシャッ!」

「ぐっ⁉︎」


 そのことに驚愕し出来たわずかな隙を突いてマダルノ蛇は身を屈めてから突進してきた。

 その豪速で一気に詰められたため回避は間に合わないと判断し腕を身体の前でクロスさせてガードする。

 俺の身体はマダルノ蛇ごと近くの木を数本折って進む。

 マダルノ蛇はそこで止まったが俺の身体はその勢いに押されさらに飛ばされそうになったが空中で身を捻り、脚を飛ばされている方へ向け次の木に触れたとほぼ同時に跳ぶ。

 止めてもらった木は折れて後方へ飛んで行ったが、俺は空いてしまった距離を少しだけ詰めることが出来た。

 しかし相手の魔獣は全長六メートル超くらいはある。幅だけでもバスケットボール一個半くらいの大きさはある。

 ここまでの大きさは今までで初の大きさだろう。

 そんな巨躯(きょく)の一撃を真っ正面から受けたのだ、さすがの東でもそれなりのダメージは受けた。

 両腕が痺れてしばらくは動かせそうにないな...

 骨までいってはいないだろうがそれでも動かそうとしても言うことを利かない。

 だらりと重力に従って下を向くだけ。

 回復させようにも宝物庫に手を入れなければ治癒核は出せない。

 攻撃も剣を振れないので腕を抜きの肉体による打撃だけ。

 まあやるだけやってみるか。


「ン、ジシャッ!」

「っ!」


 いざ攻めようとしたタイミングでマダルノ蛇は一瞬口をグッと閉じ、そして毒の弾を四発放ってきた。

 それを避けるため後退する。

 否、その毒弾は確実に後退させるための間隔で放たれた。

 野郎、狙って撃ってきたな。そんなに近づかれたくないのか?

 などと愚痴るように嘆く。

 まあ別に頭の良い魔獣は今までもいたためそこら辺はどうでも良い。問題はなぜ『ウォーミル』で脳を焼かれても生きているのか、だ。

 普通脳を焼かれて生きていられる生物はまずいない。

 竜ですら死ぬのだから。

 もしかして場所が違う?いやそんなはずはないか...

 能力がちゃんと発動しなかったとは思えない。確かに焼ける匂いがした。

 ....!そういえば焼いた時に倒れる音を聴いていないな。あの巨躯なら倒れればかなりの音が鳴るはず。

 しかし立たなかったということはその時点で能力で脳を焼けていなかったことになる。

 なら俺が発動させたのはマダルノ蛇のどこなのか?

 一度能力を体内で使ってしまえばもうそれがどこなのか知ることは出来ない。

 もう一度使ったとしても意味はない。

 倒せなかった以上不発か誤ったかのどちらかで片づけるしかないな。

 さて、結局分からないままだが戦闘を続けるか。


「近づかせたくないって言うのなら離れた場所から攻撃するまでだよ」


 そう呟き右足を上げて右手に足の甲から付け根くらいに向けて滑るように触らせる。

 痛いから覚悟いるんだよな、これ。

 そう意を決してからすぐに足から鋭い痛みが全身を駆け巡る。


「相変わらず痛いな。でも、手が動かせないからって能力が使えない訳じゃないんだ、ぜっ!ふっ」


 マダルノ蛇に一泡吹かせるように痛みで引きつった笑いを浮かべたまま右足で近くの木を蹴り折り、そこから左足の裏回し蹴りで木をマダルノ蛇目がけて蹴る。


「ジシャッ⁉︎」


 当たりはしなかったもののその声から驚いたのは見て取れた。

 だがこんなことのためだけに痛い思いをして能力を使った訳ではない。

 木に驚いたその隙に空いてしまった距離を一気に詰める。


「ッ!」

「こ、のぁっ!」

「ギャジャッ⁉︎」


 そして空中から下へ落とすようにマダルノ蛇の頭へ右足で蹴りを入れた。

 まるでボールを蹴ったようにマダルノ蛇は頭から身体ごと吹っ飛んで行った。

 蹴った際に鈍い音で何かが壊れた音が鳴った。

 数メートルほど吹っ飛んだマダルノ蛇はしばらく痙攣してから動かなくなった。


「ふぅー、これで今度こそ終わったな」


 安堵の息を吐きながら足の能力を解くため温度を上げて溶かす。

 パッと消える訳ではないので毎度やるが凍って痛みで麻痺しているためか上げても最初は何も感じない。

 次第に暖かいと感じるくらいで終わる。


「さて、今度こそコマチュリ草を探すために戻らな...っ⁉︎」


 一瞬で膨れ上がった敵意を感じゲートを繋げようとするのを止め、上へ跳ぶ。

 そしてその行動は正解だった。

 下を見た際に今さっきまでいた場所を三発の毒弾が通過した。


「マジかよ...」


 着地し敵意丸出しの方を見れば、そこには──


「ジシャアァァァッ!!」


 この森で三体目となる藍色のマダルノ蛇がそこにいた。



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