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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第17章 リリーの真偽
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毒霧の対処、そして疲労

 

 希少種のマダルノ蛇ということに全員が呆けていたが、先にユキナが我に返り事態の打開策を考える。


「村のほ、う角って、どっちだ、っけ?」

「....!え、えっと、確か...」

「あっち!ちょうど今、マダルノ蛇が向いている方です!」


 ユキナの質問によって我に返ったキリだったが、戦闘に夢中ですでに村の方角を忘れてしまっていた。

 そのため慌てて思い出そうとしたが思い出せずにいるとちゃんと憶えていたニーナが声を潜めて答える。それを聞いてユキナは考える。

 昔習っただいたいの距離の測り方で今の位置から村までの距離を。そこから風向きと霧の進行速度もおおよそで考える。


「......ざっと、六ふ、んくらい。で、も村まで、は届か、ないは、ず!」


 ユキナの導き出した結論。

 それを聞いてキリとニーナも考え───


「とりあ、えず村に、までき、りが向かな、いように、しよう」


 込もうとしたがそれよりもしなくてはならないことをユキナが先に告げ、それを阻止する。


「そうですね。あっちは私がなんとかしますので、二人は危ないですけど、マダルノ蛇の相手をお願いしますね」

「....任せて」

「ん、そっちもが、ん張っ、て」

「はい」


 そう言ってニーナは横目で霧の進行具合いを見ながら村の方へ駆ける。

 そして走りながら能力を行使する。

 彼女の能力『槍化』は物質をある一定の量圧縮し槍と化す能力。

 その物質は手で触れるような雪や水、土などに(とど)まらず手で触れることの出来ない風や熱なども槍と化し触れることの出来る物へと化させられるそうだ。

 これは以前、東がニーナの能力を観て出来ないか訊いてから彼女が考えた結果だ。

 ただ触れることの出来ない物を触れれるようにするため、土などを槍と化すよりも多くの魔力が必要とされるそうだ。

 そしてその能力を行使しながら手で筒状の形を作りながら、そこに精一杯に息を吹きかける。

 これを数度ほど繰り返して五十センチほどの風槍を作り出す。

 触るとほんのり暖かい風が微量に吹き荒れており、感触は強い風に手を当てているような感じだ。

 作り上げたそれを進行中の毒霧の少し先の方へ力一杯投げる。

 地面に刺さった風槍にかけた能力を解除する。

 解除された風槍からは強風が辺り一体に吹き爆ぜる。

 イメージとしては風槍は爆弾のような物。

 能力によって圧縮させた風が一気に吹き、それはまるで爆発のように爆ぜる。

 これを熱で試したことがあったが、これにだけは使ってはいけないと知らされる結果が生まれた。そのため熱だけは封印となった。

 話を戻すが一気に吹き爆ぜた風によって進行中だった毒霧は強風によって霧散する。

 この能力は風尚核のように狙った方向へ向けることは出来ないが威力や安全性はこちらの方が高い。


「これでこっちは良し!すぐにあっちへお戻らないと....それにしてもお姉ちゃんもアズマさんも遅いなー」


 そう独り言を呟きながらニーナはキリたちの元へ向かう。


「はあぁっ!」


 ニーナが村の方へと向かって行った頃、毒霧を辺り一体に漂わせられ、完全に身動きが取れなくなってしまう前にキリが近くの木々を霧が発生している方向を中心として切り倒していく。

 ユキナも能力を使い倒された木をマダルノ蛇目がけてと、キリと同じように毒霧を中心としてその方向へ木を飛ばし落とす。

 それにより生じた風で自分たちに毒霧が届かないように対策する。

 キリが木を倒すことで場所を教えてしまうことになるが毒霧で追い詰められるよりはまだそちらの方が対処の仕方がなくもないためだ。


「ン、ジャシャアッ!」


 そして案の定居場所がバレたキリに向かって毒弾を四発放ってきた。

 毒霧や多少の砂埃で見え難くなっているそれを避けるのは至難の業とも言える。

 だがそれは普通の人ならの話だ。

 キリは攻撃されるのを承知の上で木々を倒したのだ。

 ならば逆に攻撃されるのだからどちらから来るか際分かってしまえば避けることは普通の状況と変わらない。

『直感』によってその方向を“なんとなく”で捉えていたキリは見事に毒弾の攻撃を避けた。

 次いで攻撃を仕かけて来るかとも思ったがマダルノ蛇はあれから何もして来ない。

 ならばとキリは今のうちに場所を離れて様子を窺うことに。

 木々を倒したことで毒霧が霧散し、また木々を倒したことで辺りの様子が分かりやすくなった。

 マダルノ蛇は再びキリとユキナの場所を見失っているらしく辺りを見渡している。


「はぁ、はぁ....んあっ、っあ.....はぁ...」


 それを見ながら荒い息を整えつつ頬を伝う汗を手の甲で拭き払う。

 魔力量の少ないキリが数度能力を使い、攻撃を続けているためかなりの疲労を彼女は負っている。

 様子を窺いながら懐から小さな水儒核の欠片を取り出す。

 たった今魔力の低下で疲労していると言ったが彼女はそれでも水儒核に魔力を流し水分を補給する。

 さすがにマダルノ蛇の相手を三人で、さらには二人でするのはキリたちでもかなり厳しいものだった。


「早く戻って来て....二人とも」


 そう呟いた時だった。


「!シャアァァッ!」

「なんでっ⁉︎」


 ピクっとキリがいる方を向いたマダルノ蛇があの突進を繰り出してきた。

 予想だにしていなかった攻撃にキリは対処が遅れ、その攻撃を真っ向から受ける状態になってしまった。



風槍から出ている風は手にドライヤーの風を当てている感じと思って下さい。


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