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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第16章 冒険初心者のキセキ
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騒ぎ、そしてリハビリ

 

 予想外のことは続くものだった。

 ワイバーンたちが去ったことで避難していた街の人たちは二日ほどでこっちに戻ってきた。当然あの少女らの姿もあった。

 そこには安堵した。

 しかし問題は、話が飛躍したのかワイバーンたちを俺が追っ払ったことになった。なんでだよ!

 あれだけ去って行ったって言ったのに!

 ワイバーン一頭の討伐難度は青ランク。そのため半信半疑だった人も結構いたのだが討伐隊や防衛隊のメンバー数人が酒屋などで酒の(さかな)にワイバーンの話や討伐隊の隊長の話で盛り上がっていたため減ったようだ。

 こうなってしまえば目立つ。

 外に出れば「この街の英雄」だの「凄腕の冒険者」だの「氷人」など言われた。

 ワイバーン一頭は青ランクの魔獣。それが三頭ともなれば街の人から

 氷人とは俺が隊長の腕を凍傷させたため『凍らせる能力』と躊躇(ちゅうちょ)せず隊長に能力を使った『冷たい人』ということで「氷人」なのだとか。

 まあ何を言われようとも構わないのだ。王都のギルドでも時々似たようなことを言われるからな。

 そしてそれにより観察生活にも支障が....はなかった。というかその後も観ていたがやっぱり俺の考えはハズレだったようだ。

 母親は暴力を振るうどころか働いて来た子どもたちをちゃんと世話をし、楽しそうに話をしていた。

 良かった、杞憂で。

 ゲートで昨日ぶり(・・・・)の家へ帰る。


「あら、今日は早いわね?」


 ゲートを抜けるとお風呂上がりのサナが階段の上からこちらを見下ろしていた。

 小さな六角形がいくつも散らばっている淡い緑色のパジャマのサナの頭からはうっすらと湯気が立ち昇っているのが見える。

 普段もこもこの毛の彼女の耳が今は濡れているためピッタリとひっ付いている。しかし濡れているため彼女の髪色とも相まって光が反射しさらに綺麗に魅せる。


「どうしたの?私に何かついてる?」


 少し目を奪われていると何も言わない俺を不思議に思い首を傾げて尋ねてきた。


「い、いや!なんでもないよ。それより明日もキリとトレーニングなんだろ?」

「ええ、あなたもたまには()なさいよ」

「あー、そうだな。久々に俺も参加するよ」

「本当っ!やった!」


 サナが手すりから身を乗り出して喜びの声を上げる。

 家では一応全員がそれぞれのトレーニングメニューを各自で作ってやっている。

 まあだいたいが筋トレと素振り、そして能力の操作だ。

 筋トレや素振りは体力や体格などの向上。能力の操作は例えば俺の場合はタライ二つを用意して、それぞれに手を入れる。

 そして両方『ウォーミル』を発動させる。

 片方は温度を下げ、反対は上げる。次はそれを逆にするをずっと繰り返す。

 ちなみに温度調整に失敗すると手が惨事になるので真似しないように。後は『千里眼』と『魔眼』を使って城下町を見物することも時々ある。

 まあこれが俺のトレーニング。メニューは変わることは多いが、基本メニューは述べた通りだ。

 それとは別の前回もやった模擬試合だ。キリとは打ち合いを、サナとは技の試し合いを。

 最近の彼女らとやり合うのはかなり大変だ。彼女らはどんどん強くなっていく。


「じゃあ、明日楽しみにしてるから!覚悟してなさいよ!」


 サナは笑顔を浮かべてこちらに人差し指を指し、そう言うと早々に去って行った。多分キリに言いに行ったのだろう。

 嬉しそうで何よりだ。


「さて、腕が動くかちゃんと確かめてから寝るか」


 ワイバーン退治で出会ったあの女によって受けたダメージは後に治癒核を使って治し、素振りなどはしたが実戦はまだなので一度確認しておいた方が良い。

 ということでゲートを繋ぎ最初に俺がいた街の近くの森、リオルの森へ赴く。

 夕方だろうと見難い森の中だろうと『魔眼』で昼と変わらない状態だ。

 森に入って少しすると周りから気配を感じ始めた。

 耳を澄ませば草を()き分ける音、小枝を踏みしだく音、微かな(うな)り声、洗い息、ついでに獣臭など。

 宝物庫から剣を取り出し、構える。

 数は....五か。意外にも少ない。この時間ならもう少し寄ってきても良いと思うんだが....誰かの縄張りか?


「ガァァアァァッ!」

「グガァァァァッ!」

「ガァァッ!」


 そのうちの三体が飛び出してきた。

 ゴブリンが二匹、一角狼が一頭がそれぞれ襲いかかっってきた。ゴブリンはそれぞれ小さな棍棒と小さな槍を持っている。

 それを目視で確認してから剣を走らせる。

 ゴブリンは武器を切断してから腕を弧を描きながら切り、そして首を切る。

 一呼吸置いてから一角狼の角の根本を切り、首裏を剣の柄の先で強く叩く。グギャッと鈍い音が鳴った。


「ゴガァッ!⁉︎」

「ガアァァアッ!ガアァァアァァァッ!」


 声を上げた方を見るとトロルーといつものゴブリンより三、四周りくらいデカいゴブリンがこちらに向かって叫んでいる。


「ゴガァアァァァッ!」

「ガァァアァァッ!!」

「おお、っと」


 少ししてからトロルーがその太い腕を横に振り木を折り倒してくる。それを真似してデカいゴブリンも木を折り投げてきた。

 それにちょっと驚きながらそれを避け、地面を蹴り間合いを詰める。


「っふ!」

「グガアァッ⁉︎」

「ガギャアァッ⁉︎」


 一回転一振りで両者の腹を切り裂く。


「ふー、んっ!」


 最後にグゥで頭を潰す。グシャっと生々しい音が静かな森に響く。


「よし、大丈夫そうだな」


 死体は宝物庫に入れておいて、今度焼いておこう。

 そう思いゲートを家へ繋げる。



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