表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その男、名探偵につき  作者: 小高まあな
第一章 九官鳥の場合
4/34

03

 硯さんが帰ってすぐ、慎吾は身支度をし、外に出た。私を移動用キャリーに入れて。

 やってきたのは、私にとっても馴染みの警察署である。

 慎吾は受付である人を呼び出す。

 そして嫌そうに現れたのが、

「何しに来た、馬鹿探偵」

 笹倉譲巡査部長。捜査一課の刑事さんで、慎吾とは大学時代の同級生なんだそうだ。慎吾とはよく事件現場で顔をあわせることが多い。

 つまり、名探偵の効力に巻き込まれた被害者の一人である。かわいそうに。

「ご挨拶だなー、笹倉。茗ちゃんからの依頼だよ」

「硯さんの? あー、金持の……」

「そうそう。だから、資料見せろー」

「部外者が無茶言うんじゃねーよ。つーか」

 そこで巡査部長の視線が、私に移った。

「なんでクロ連れてるんだよ」

「今日はこの後、キューの健康診断なんだよ。一ヶ月も前から予約してたんだから」

「ゴンベイ!」

「ついでか」

 呆れたような顔を巡査部長はする。まあ、気持ちはわかる。所詮、この名探偵にしてみればその程度の事件、ということなのだから。

「いや、でも笹倉。冷静に考えてみろ?」

 真面目な顔をした慎吾が、人差し指を突きつける。

「俺に見せた方が、はやい」

「悔しいけどそのとおりなんだよ……。だからむかつくんだけどな」

 民間人に頼るなど、おおよそ警察組織の人間とは思えない発言だ。だがしかし、この名探偵にいつも振り回されていれば、あきらめが先に来てしまうのもよくわかる。最近知った言葉によると、慎吾はそう、「チート」なのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ