↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その男、名探偵につき  作者: 小高まあな
第三章 検事の場合
PR
17/34

03

 容疑者としてあがったのが、硯さんの両親だった。

 両親ともに小学校教師で、被害者は夫の方の教え子一家だったという。今で言うところのモンスターペアレントで、だいぶ振り回されていたらしい。

 理不尽な要求に、夜中に家に呼び出されることも度々あったそうだ。別の小学校の教師である妻の方も、「お前も教師なら来い」とかよくわからない理屈で度々呼びつけられていたらしい。

 事件当夜も、呼びつけられていた。

 なるほど、私が担当の警察官でも怪しいと思うだろう。動機もある、アリバイはない。家に行ったところは目撃されている。

 決定的な証拠が見つからず、逮捕にまでは至らなかった。

 ただ、任意ではあるものの度重なる事情聴取。

 夫の方はもちろん、妻の方も学校からしばらく来るなと言われた。まあ、そうだろう。その心境は理解できる。

 家に押しかけてくる報道陣。近所からの冷たい視線。罵倒の電話。いやがらせの手紙。家の壁への連絡。何度もやってくる刑事。

 そういった光景は容易に想像できる。それに、心が折れてしまうのも、理解はできる。

 だけど、あんまりじゃないだろうか?

 たった一人の娘を残して、二人そろって首を吊るなんて。

 いかなる理由があろうとも、子供に手をかける犯罪は嫌いだ。無理心中に失敗して、親だけが生き残った事件なんてヘドがでる。

 だけど、子供だけを残して逃げるだなんて、最低最悪だ。そんな状況下で、残された子供がどうなるか考えなかったのだろうか?

 この話を思い出すたびに、腸が煮えくり返る。

 さらに最低で最悪なことに、その両親の遺体の第一発見者は、当時七歳だった硯さんだったのだ。

 普通、子供がいる家で夫婦揃って自殺とかする? まあ、自殺するということは精神状態が普通じゃなかったのだろうけど。それにしたって、子供を親戚の家に預けるとか、そういう最低限のことはしてからにしろよ、と思う。

 パニックになって家を飛び出した彼女を助け、警察に通報したのが家を張っていたマスコミ関係者というのは皮肉だ。

 そして、警察が来る前に家の中に入るチャンスがあったため、一部の心無いマスコミのせいで彼女の両親の死体の写真は一部のアングラ雑誌に載ったりした。今ほどインターネットが発展していなくてよかった。

「犯人だから自殺して逃げたのだ」

 世論は最初、そう言って硯夫妻を責め立てた。死者の過去を暴き、晒し、面白おかしく報道した。

 一週間後、真犯人が警察に逮捕されるまでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。