8
目が覚めた。昨日のことは全部夢だった。なんてことはなかった。
見慣れてない部屋だ。
昨日結構遅くに寝たのに、早く目覚めた気がする。うーん、この世界に時計はないんだろうか。朝昼夜、日にちの概念はあるみたいだが。
体を起こすと、気だるさがあった。
朝起きたら、食堂に集合、だったか。
この部屋にあるもう一つのベッドに目を向ける。ソラは・・・まだ寝てるのか。どうしよう。声をかけるか・・・。いや、やめておこう昨日のことがある。ゆっくり寝させてやろう。
着替えて、食堂に向かう。
昨日も来てみて思ったが、長いテーブルに白いクロス。アニメとかで見たのと同じだ。
「やあ、早いね。」
そこで待っていたのは、王子だった。
「どうも。」
軽く会釈をしておく。
「ソラ様は、まだお休みかな?」
「そうだよ。・・・その、様付け、やめてくれよ。変な感じがするからさ。」
「君たちは、勇者なんだ。敬わなければね。」
やめてって言ったら、やめてくれよ・・・。
「少し、話、してもいいですか。」
「ああ、いいよ。」
「俺、迷惑かけてませんか。」
「それは、なんで?」
「昨日、俺が無能力だとわかって、勇者じゃないかも、なんて考えませんでしたか?」
「確かに、君は何の属性も持たない。でも、勇者召喚によってあらわれた。そのことに、意味があるんじゃないのか。僕は、そう考えているよ。
「そう、ですか。」
昨日の夜聞いた言葉そのまま。これが、この人の変わらない考えか。
ステータスをのぞかせてもらう
あああ 人間
パワー10
属性 火
パワー10か。まだこれがどれくらいの強さなのかわからないけど、少なくとも俺よりは強い。